2017年(平成29年) 7月13日(木)付紙面より
ツイート
鶴岡市のあつみ温泉の観光振興と温泉街の風物詩「朝市」の活性化に向けて、あつみ観光協会(若松邦彦会長)は、本年度から3カ年で「朝市広場活性化事業」に取り組む。11日、出羽商工会温海支所を会場に関係機関で意見交換会を開催。衰退する朝市の現状を確認するとともに、「オール温海」体制での事業展開に理解を求めた。
あつみ温泉の朝市は、江戸時代中期、「あば」と呼ばれる海岸部の女性たちが新鮮な魚介類や農産物を露店販売したのが始まりとされる。1989年からは温泉街中心部の朝市広場で、あつみ観光協会管理の木造平屋建て長屋式店舗を出店者が間借りする形で4月から11月の期間実施している。
あつみ温泉への入客数は90年の年間約35万人をピークに減少、朝市もこの影響を受けて衰退。出店者で組織する朝市組合も2年前に解散。売り上げがピークの4分の1まで落ち込んだ出店者もいるという。朝市広場では22店舗を受け入れられるが、現在の出店は6人で7店舗と、かつての温泉街のにぎわいの象徴は“シャッター通り状態”となっている。
活性化事業では、外部有識者による講演会開催、新規出店獲得に向けて店舗使用料や営業時間を見直すなどの環境整備、月1回ペースでのイベント開催などを計画。初年度の予算は約26万円で、市と観光協会が2分の1ずつ負担する。
この日の意見交換会では温泉関係者や温海地域の各自治会、朝市出店者など17人が出席。観光協会内への活性化検討委員会設置をはじめ、外部講師の講演会と定期的なイベント開催について協議。若松会長は「地元有志によるまちづくり団体の取り組みや、旅館組合によるインバウンド対策など、民間レベルのやる気は必ずしも衰えてはいない」。出店者の一人は「高齢化や売り上げ減少で辞めていく出店者も多く、定着も難しい。これまでも活性化に向けた取り組みはあったが、立ち消えている。それでも続けているのは人との出会いがあるから。伝統ある朝市への誇りや思いを理解してくれる人から協力してもらえれば」と話した。