2021年(令和3年) 1月20日(水)付紙面より
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厳冬期にソバの実を冷たい流水に浸して風味を引き出す寒ざらし作業が16日、鶴岡市温海地域の越沢集落で始まった。商標登録された地域の在来作物「越沢三角そば」の実、約100キロが冬の冷たい水にさらされ、熟成が進んでいる。
2016(平成28)年に在来作物と確認された越沢三角そばに付加価値を付けようと、翌17年から「まやのやかた越沢三角そば生産組合」(野尻善共組合長・組合員14人)が主体となって取り組んでいる。同組合によればソバの苦味が取れて甘味が増し、ナッツのような香ばしい風味になるという。
16日は小雨の中での作業となり、集落内にある越沢センター近くを流れる摩耶山系の流水の中に、ソバの実が入った網袋を16袋浸していった。2週間ほど水に浸した後、さらに2週間軒下につるして寒風にさらし、最終的に天日干しにして乾燥させる。実をぬれたまま放置すると芽が出てしまい、水分量が高いと製粉できなくなるため、冬の限られた日照時間での乾燥は重要。
今回、寒ざらしにしたソバの実で約600食分の提供を見込んでおり、2月いっぱいまで冬季休業中の同集落にあるそば処(どころ)「まやのやかた」では4月ごろから提供を始めたいとしている。野尻組合長は「今年は積雪量が多く山菜の採れる時期も遅くなると見込まれるので、山菜のおいしい時期とともに寒ざらしそばが提供できると思う」と意気込む。今後、同地域のあつみ温泉「萬国屋」での提供も見込まれており、地元の名前を冠した特産品をきっかけに、地域活性化につなげたいとしている。