2017年(平成29年) 2月3日(金)付紙面より
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鶴岡市黒川地区に伝わる「黒川能」(国指定重要無形民俗文化財)の最大の神事「王祇祭」が1、2の両日、地区の鎮守・春日神社などで行われ、神の依(よ)り代を下ろした上、下の当屋では、500年以上の歴史を持つ黒川能が夜を徹し上演された。
旧正月の祭事で、春日神社から神の依り代「王祇様」(長さ約2・4メートルの梵天状の木を3本組み合わせたもの)を上、下両当屋に下ろし、それぞれ1日夕から2日明け方まで能楽で供応する。今年の当屋頭人は上座が釼持博さん(80)=屋号・六右衛門、椿出=と、下座が上野友彦さん(83)=同・彦作、楯=が務め、上座が黒川上区公民館、下座が黒川中区公民館で行われた。
このうち上座では、午後6時ごろから演能がスタート。地区の幼年の男児が演じる「大地踏」、儀式能「式三番」に続いて、能「竹生島」や狂言「三本柱」、能「海士(あま)」など能6番、狂言4番が夜通し演じられた。
「黒川能の夜は荒れる」の言葉通り、強い風が吹くいてつく夜となったが、会場には当屋の親類や地区住民をはじめ、県内外の能楽ファンが大勢訪れ、名物の凍(し)み豆腐料理や酒を味わいながら連綿と受け継がれてきた神事能の世界に浸った。
2日は春日神社で、上座能「竹生島」、下座の能「高砂」、両座立ち合いによる「大地踏」、「式三番」の順に奉納された。