2021年(令和3年) 9月18日(土)付紙面より
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5月の降ひょうで被害を受けた鶴岡市櫛引地域の果物を地元の菓子店や飲食店などで活用する「くしびき☆えくぼフルーツフェア」の試食会が16日、同市切添町のイタリア料理店「ブラックバードマーケット」で開かれ、果物の生産者や消費者らが被害リンゴを使ったお菓子を試食、「普通のリンゴと全く変わりなく、おいしい」と好評だった。フェアは18日(土)から11月末まで市内の約20店舗で被害果を使ったお菓子や料理などを提供していく。
櫛引地域は果物栽培が盛んな「フルーツ王国」。5月の降ひょうではリンゴ、和ナシ、洋ナシを中心に、表皮が傷つくなど大きな被害を受けた。フェアは櫛引地域産業振興プロジェクト推進協議会と鶴岡食文化創造都市推進協議会が、生産者を応援しようと実施する。
参加の希望を募ったところ、これまで農家側は櫛引地域の5軒、店舗側は市内の飲食、製菓、製パン、加工の各店、合わせて18店が名乗りを挙げた。期間中、店舗側の発注に基づき週1回(水曜日)、市役所で果物を配布する。価格は正規品の3分の2(リンゴで1キロ300円)程度。
この日の試食会には、参加店が被害果を使ったケーキやパイ、タルト、プリン、パン、ピクルスなど12品を持ち寄って展示。このうちブラックバードマーケットの沼田健一店長(44)が作ったリンゴのタルトを、生産者の齋藤司さん(58)=同市三千刈=や市内の消費者ら4人が試食した。齋藤さんは「傷物として産直でも売れない果物を、こんなにおいしいお菓子にしてもらい、うれしい。これを機に、来年以降も地元産をもっと使う流れができるとさらにうれしい」と話した。鶴岡ふうどガイドの伊藤和佳さん(54)=同市友江町=も「とてもおいしく、言われなければ傷ついた果物とは分からない」と太鼓判を押した。
先月に齋藤さん方のほ場を視察し、想像以上の被害に驚いたという沼田さんは「味は普通のリンゴと全く同じ。それを知ってほしくて、敢えて普段通りのレシピで作った。これまでもなるべく県産素材は使っていたが、今後は一層、地元産を使い、お客さん、生産者、双方に喜んでもらいたい」と話した。
事務局によると、これまで参加店には被害果122キロが提供された。参加店は市のホームページで紹介している。参加店は随時募集している。問い合わせは鶴岡食文化創造都市推進協議会=電0235(35)1185=へ。