2022年(令和4年) 1月22日(土)付紙面より
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三川町の東郷小学校(海藤陽子校長、児童122人)の児童が、いじめ問題に取り組んでいる。6年生の運営委員が中心となり、オリジナルの「いじめ演劇」を作って全校児童を前に発表。劇を見た感想を求めるなどして子どもたち自ら「いじめのない学校づくり」を発信している。
取り組んでいるのは、運営委員長の本間優里花さんと副委員長の野澤日渚(ひな)さん、佐藤來晟(らいせい)さん、峯尾航輝(こうき)さんの4人。昨年、「ふだんの学校生活の中で全国的になくならない『いじめ問題』に取り組んでほしい」という6年生の声を受け昨年4月から、どのように進めていくか話し合ってきた。
入学したばかりの1年生でも理解できるよう、いじめなのか、それともけんかなのかを判別する「演劇」で伝えることに。台本を書き上げて4、5年生が配役を担当。台詞(せりふ)を覚えて練習を重ね昨年6月、体育館に全校児童を集めて披露した。演劇の内容は、わざと後ろから背中を押したり、聞こえているのに無視したりする典型的ないじめ行動を取り上げた。「あなたの着ている服が変」と陰湿な言葉を投げかけるケースも加えた。
先月下旬には学校生活の中で、ささいな事でも思っている事を用紙に書き込んで投函する「ごめんねポスト」と感謝の気持ちを伝える「サンキューポスト」を校内に設置。書かれた内容を廊下の掲示板に張り出している。
本間さんは「いじめを防ぐには思いやりの心を持つことが大切」、野澤さんは「自分がいやなことは他人にもしない。相手の立場に立って考えることが重要」と話す。
佐藤さんは「自分が何気なく言った言葉が、もしかすると相手を傷つけているかもしれない、という意識を持つことも必要」、峯尾さんは「いじめを目撃したら見て見ないふりをしないこと」がいじめを防ぐ最善策と答える。
6年生(21人)を担当する佐々木嘉彦教諭は「いじめ問題の取り組みは、こちらからアプローチをかけたわけでなく、子どもたちが主体的に行っている活動の一つ。思いやりの心を持つことが、いじめを防ぐ大切なキーワードになっていることを互いに考え合っている」と語る。
3月で卒業する運営委員の4人は「この活動は来年も続けてメールやラインに書き込まれる誹謗(ひぼう)中傷にも取り組んでほしい」と後輩に託す。
本間さんと野澤さんは「(いじめ問題は)隠すことが一番だめ。いじめを受けた人も見た人も、勇気を持って周りに伝えることが大事」と語った。