2018年(平成30年) 1月5日(金)付紙面より
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遊佐町吹浦の女鹿集落で3日夕から夜半にかけ、奇習「アマハゲ」が繰り広げられた。鬼のような形相の面をかぶり、ケンダンと呼ばれるみのをまとったアマハゲが奇声を上げながら集落内の家々を回った。
アマハゲは、秋田県境に近い滝ノ浦、女鹿、鳥崎の3集落に残る新年行事。3集落ともほぼ同様の形態で受け継がれ、1984年に「遊佐の小正月行事」として国の重要無形民俗文化財に指定された。元日に滝ノ浦、6日には鳥崎の両集落でも行われる。
政府は昨年、「遊佐の小正月行事」を含め「神の使い」に扮(ふん)した地域民が家々を訪ねて無病息災、家内安全を願う10県の10行事を「来訪神・仮面・仮装の神々」として一括し、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に再提案。審査は11月に行われる予定。
3日は女鹿集落の若衆7人が参加。このうち6人がケンダンをまとった上、▽赤鬼▽青鬼▽赤じんじ▽黒じんじ▽がんぐつ―と呼ばれる漆塗りの面を交互にかぶってアマハゲに扮した。
集落の鎮守・八幡神社で参拝した後、午後4時すぎに出発。玄関先で「ドーン、ドーン」と勢いよく太鼓を打ち鳴らすと、奇声を発しながらアマハゲが一斉に家の中に。子どもたちは怖さのあまり泣き叫んだり、両親やおじいちゃん、おばあちゃんにしがみついた。高橋寛登君(9)=吹浦小4年=は「アマハゲは初めての体験。思っていた以上に大きかった。来年もまた参加したい」と話していた。
海よりの強風に加え、みぞれが降るあいにくの天候の中、アマハゲは集落内の約30戸を回った。暴れたアマハゲのケンダンから落ちたわらくず「コモジ」は掃き集められ、家内安全や無病息災を願う縁起物として床の間に一晩飾るという。