2022年(令和4年) 5月20日(金)付紙面より
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鶴岡市の加茂水族館で、来館者と目を合わせて愛嬌(あいきょう)を振りまき、サービス精神たっぷりに泳ぐ巨体のアザラシが話題になっている。“ブサカワ”系の表情が愛らしいと民放キー局の報道番組で全国に紹介されるなど、人気が急上昇している。
体長2メートル、体重400キロの雌のキタゾウアザラシ「なおみ」(推定9歳)。水から上がって寝そべっていても、人が集まると気配を察するのかすぐに泳ぎだす。水槽のアクリル板に鼻をこすりつけて泳ぐ速度を落とす「鼻ブレーキ」で水槽を何度も往復し、視線も観客から外さない。職員が芸として教えたわけではなく、いつの間にか人慣れしたという。
なおみは5年前の秋、同市三瀬海岸沖で弱っているところを同水族館の職員らによって保護された。プロテニスプレーヤーの大坂なおみ選手にあやかって「世界一有名なアザラシに」との願いを込めて「なおみ」と命名された。「鼻ブレーキ」の“変顔”がSNS上で話題となり、すっかり観客に愛される水族館の人気者に。
岡山県から夫婦で17日に訪れた戸川淳子さん(57)は「不思議な愛嬌があって人間の顔みたい。何とも言えない親近感がある。間近で見られて良かった」と話していた。キタゾウアザラシは北太平洋の北米大陸西岸に生息し、国内で飼育展示されるのは加茂水族館だけという。