2023年(令和5年) 8月30日(水)付紙面より
ツイート
この夏の高温多照と少雨で米の品質が懸念される中、鶴岡市上山添地区で29日、稲刈りが行われた。生産者によると、例年より1週間早い稲刈りの開始で、就農して40年余りとなるが8月中の刈り取りは初めて。「(高温などで)もみが少し小さめで収穫量は落ちそうだ。それより米粒の胴割れが心配。今年は等級検査で2等米になればいい方ではないか」と新米の出来に心配そうに話した。県や各JAなどは、高温により刈り取り適期が早まっているとして、早めの収穫作業開始を呼び掛けている。
この日、刈り取りが行われたのは上山添の菅原和行さん(61)の水田。作付けした6・7ヘクタール(ひとめぼれ、つや姫、コシヒカリ)のうち、1・2ヘクタールのひとめぼれが刈り取り適期の目安となる積算気温を超えた。
菅原さんによると、稲の高温障害を防ぐため、水田にため水をしないよう、水管理に例年以上に気を使ったという。「早朝に入れた水が日中にすぐに温まる。とにかく水が停滞しないように気を配り、作溝にも苦労した」と話す。「胴割れが心配だ。収穫量は二の次。とにかく早めに刈り取りたい」とし、つや姫とコシヒカリも例年より1週間ほど早い9月7日には刈り取りに入るという。収穫したひとめぼれは、31日にも等級検査を受け、全国の顧客に向けて発送するという。
2023年(令和5年) 8月30日(水)付紙面より
ツイート
あまり市場に出回らない魚「未利用魚・低利用魚」の活用方法について学ぶセミナーが28日、鶴岡市中央公民館で開かれた。未利用魚の加工販売を手掛ける「ベンナーズ」(本社・福岡市中央区)の井口剛志社長(28)が『「もったいない」を「おいしい」に。~未利用魚を全国へ~』をテーマに講演した。
井口社長は1995年福岡県生まれ。高校を中退後、単身渡米し、メーン州の高校を経てボストン大学に進学、起業学を専攻した。大学を卒業後、祖父が水産加工をしていたこともあり2018年に「ベンナーズ」(資本金9500万円、従業員数40人)を設立。社長に就任し未利用魚を使った加工販売を展開している。
講演で井口社長は、海の環境変化(海水温の上昇・黒潮の蛇行など)や漁師の高齢化による魚介類の水揚げが全国的に減少していることを指摘。その中で井口社長は「いま獲れる魚で何とかしていかなければならない。中でも未利用魚の一種『アイゴ』という魚をハムに加工して注目を集めている会社もある。自社では和食がブームとなっているタイに向けて販路を開拓していきたい。全国で漁獲量が落ち込む中、未利用魚の価値は今後、ますます高まってくるだろう」と語った。
セミナーは鶴岡食文化創造都市推進協議会が企画した。地元の水産加工会社の担当者や鮮魚店と飲食店の店主、漁師、県水産研究所の研究員、未利用魚について学習する羽黒高校生徒ら合わせて約30人が参加した。
2023年(令和5年) 8月30日(水)付紙面より
ツイート
酒田市出身の活動写真弁士・佐々木亜希子さんによる「活弁ライブ」が26日、鶴岡市の鶴岡まちなかキネマで行われた。佐々木さんはチャップリンとロイドの喜劇、小津安二郎監督の日本映画の3本を、さまざまな声色を使ってせりふやナレーションを披露し、無声映画に彩りを添えた。
「活弁」とは、無声映画に、映画を解説する弁士と音楽を生演奏する楽士が付く上映スタイルのこと。全盛期の頃は日本に数千人いたと言われる弁士も、現在では佐々木さんを含め15人ほどだという。
蝶ネクタイにタキシード姿で舞台に登場した佐々木さんは軽妙な語り口でコミカルな場面を表現。佐々木さんと20年近くコンビを組んでいる楽士の永田雅代さんも、場面に合った伴奏で盛り上げた。
チャップリンの「冒険」では、追手を逃れた脱獄囚のチャーリーが、海で溺れた母娘を助け、車で家に送る場面で、運転手役がチャップリンの実際の運転手だった高野虎市だといううんちくをさりげなく披露。さらにお礼に呼ばれたパーティーでは料理に「だだちゃ豆もありますよ」と紹介し、笑いを誘っていた。また、ロイドの「要心無用」では、田舎で待つ恋人との会話を庄内弁で語るなど、喜劇をさらにおもしろくさせる演出で観客を喜ばせていた。
佐々木さんは「再開したまちキネで、また活弁を披露できてとてもうれしい」と笑顔で語り、活弁を楽しみにしていたという市内の70代の女性は「久しぶりに映画を観て、声を上げて笑った。機会があれば、また参加したい」と話していた。
2023年(令和5年) 8月30日(水)付紙面より
ツイート
本年度の「みどりの奨励賞」(全国緑の少年団連盟会長賞)を受賞した鶴岡緑の少年団メンバーが28日、鶴岡市役所を訪れ、皆川治市長に受賞を報告した。
鶴岡緑の少年団は今年2月、22年度山形県緑の少年団活動発表審査会で最優秀賞を受賞。昨秋のつるおか大産業まつりで行った緑の募金活動や、魚の森(同市油戸)などでの森林保全活動が高く評価された。
同少年団はやまがた森林と緑の推進機構から全国緑の少年団活動発表大会の発表団体に推薦され、今年6月の選考委員会で「みどりの奨励賞」に選出された。同奨励賞は国土緑化推進機構理事長と全国緑の少年団連盟会長賞を合わせて全国の10団体が受賞。東北地区では鶴岡緑の少年団が唯一の受賞となった。
これを受け、鶴岡緑の少年団を代表していずれも朝暘一小6年の石原祥子さん(12)、高橋一花さん(12)の2人が引率者と共に緑の少年団交流大会(7月30、31日、北海道当別町・道民の森)に参加し、表彰状と副賞の活動費10万円の目録を受け取った。
この日、石原さんと高橋さんが保護者と共に鶴岡市役所を訪問し、皆川治市長に受賞を報告。皆川市長は「受賞おめでとう。今回を機に、今後さらに積極的な活動をお願いします」と労った。
その後の懇談で「仙台市から飛行機で北海道に向かい、夜には屋外でジンギスカンを食べた」などと交流大会の様子を皆川市長に伝えるとともに、石原さんは「4年生の頃から少年団の活動を頑張ってきて良かった」、高橋さんは「すごい賞をもらえた。とてもうれしい」とそれぞれ感想を述べた。
鶴岡緑の少年団は1974年に県内第1号の少年団として設立。22年度は魚の森やJTの森鶴岡(鶴岡市下川)での森づくり活動、蔵王坊サマージャンボリー(上山市)、つるおか大産業まつりでの募金活動などを行った。本年度の団員数は鶴岡市内の小学4―6年生25人。