2023年(令和5年) 9月3日(日)付紙面より
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庄内沖の底引き網漁が1日、解禁された。鶴岡市の県漁協由良総括支所では、漁業者たちが水揚げされた魚を仕分けする光景が見られ、由良漁港は2カ月ぶりに活気にあふれた。一方で福島原発の処理水放出を巡る風評被害や燃料高などに加え、海水温が高いため例年より漁獲量が減少しているなど、漁業者にとって頭を悩ませる課題が山積している。
底引き網漁は9月から翌年の6月まで行われる。資源保護のため7~8月の2カ月間は休漁となっている。
由良総括支所ではこの日午前1時前に6隻の底引き網船が出港。沖合約20キロで漁を行い、午後2時半を回ったころから順次帰港した。各船からは魚が詰まった木箱が次々と降ろされ、午後5時からの競りに向けて漁業者たちが魚種や大小を選別する作業に追われた。
この日水揚げされたのはマダイやヒラメ、ノドグロ、ヤナギガレイ、カワハギ、アマダイ、アンコウ、カナガシラなどのほか、高級魚のアラなども見られた。
午後3時ごろ帰港した第21輝修丸の石塚修船長(54)=鶴岡市三瀬=は「例年と比べて漁初日としてはあまり良くなかった。海水の表面温が30度と、今までなかったような高さが影響しているかもしれない。特にクチボソガレイがほとんど見当たらなかった。海水温が下がってからの漁獲量に期待したい」と話していた。
一方、魚の選別をしていた漁業者の一人は「燃料高騰でどの漁業者も苦しい状況。行政の対応は十分と言えない」と、ぶぜんとした表情で話していた。また、同支所の田中寿幸支所長(46)は「福島原発の処理水の風評被害で、今後は市場における魚のだぶつきや価格低迷が懸念される。影響が大きくなるなら県漁協として県など行政に訴える必要がある」と語った。