2009年(平成21年) 7月3日(金)付紙面より
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酒田市の老舗デパート・中合清水屋店(太田敬店長)がキーテナントとして入るマリーン5(成澤五一社長)前にブロンズの「人魚之像」がお目見得した。この像は旧清水屋が市に寄贈、長く同市二番町の中央公園内に設置されていた。今回、より多くの市民から鑑賞してもらおうと移設された。2日に関係者らがテープカットし30年ぶりの“里帰り”を祝った。
「人魚之像」は、茨城県水戸市出身で日本を代表する彫刻家の1人・木内克(きのうち・よし=1892―1977年)の作。台座を含めた全高が約215センチ。波にのる人魚を力強く立体化している。
清水屋店の辻繁記副店長によると、時期は分からないが同市中町三丁目の旧清水屋(現在のパイレーツビル)内で木内が個展を開催し来店。その時、当時の青塚義一社長が制作を依頼したらしい。木内は快諾し酒田の青い空と海、緑の松林をイメージして制作に当たり、1973年に完成。旧清水屋の改築記念に合わせ除幕された後、78年まで正面玄関前に設置されていた。
76年に発生した酒田大火を機に、清水屋がマリーン5内に移った際、この像を市に寄贈。市は日和山公園を経て大火復興のシンボルとして造成した中央公園内に設置した。
今回、より多くの市民から鑑賞してもらおうと、マリーン5と中合清水屋店が像の“里帰り”を計画。市教育委員会の許可を得てマリーン5店舗前の通称・噴水南側に移設した。
2日の竣(しゅん)工式には市や同店の関係者ら約30人が出席したほか、大勢の市民が周囲で見守った。阿部寿一酒田市長、成澤社長らがテープカットと除幕をした後、神事で竣工を祝った。
阿部市長は「昔の清水屋を知っている人にとっては『お帰りなさい』という感じだろう。にぎやかだったころの酒田の象徴ともいえる像で、末永く愛されてほしい」、成澤社長が「30年を経ての再登場は、関係者の協力のたまもの。今後ともよろしくお願いしたい」とそれぞれあいさつした。
清水屋店では今回の移設に合わせ、73年から78年まで使用していた人魚をデザインした包装紙を再現。現在開催中のバーゲンセール「マーメイド祭」で使用している。
30年の時を経て“里帰り”した「人魚の像」