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2011年(平成23年) 6月30日(木)付紙面より

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大震災教訓にシミュレーション

 大津波を想定した避難・引き渡し訓練が28日、酒田市の浜中小学校(村岡真人校長、児童131人)で行われた。子供たちが歩いて高台に避難し地区ごとに整列。連絡を受けた保護者が車で引き取りに向かい、地区担当の教員が名簿で確認の上、一緒に帰宅するという一連のシミュレーションを繰り広げた。

 同校ではこれまで、毎年秋に地震・津波避難訓練を実施。津波の避難場所を校舎2階にしていた。また、自然災害や不審者の侵入などにより学校での安全が確保できない場合に備え、児童を保護者に引き渡す訓練も年1回、実施している。

 しかし、校舎は海岸まで1キロ足らずと近く、途中に津波を遮るような丘などもない。そのため東日本大震災を教訓に、避難場所を同校から東に約1・3キロ離れた市道広岡浜中線沿いの標高43メートル地点に変更。さらに引き渡し訓練も同時に実施し、より実情に即した訓練を行うことにした。

 午後2時50分、「大きな地震が発生しています」という校内放送。子供たちはいったん、机の下に身を隠してから昇降口前に整列し点呼を受けた。その後、6年生が1年生、5年生が2年生の手を引き、それに3年生、4年生が続き、村岡校長の「走らず、しかし急いで避難しよう」との言葉で高台に避難。約20分かけて目的地の市水道局浜中配水池前に到着した。

 すぐに9地区8グループごとに整列。緊急連絡網や防災無線で、子供たちが高台に避難したことを知った保護者が次々と車で駆け付け、地区担当教員に名前を告げた上で引き取った。

 5年生の小林ましろさん(11)は「疲れた。でも、訓練しておいた方がいいと思った」、母親のゆかりさん(35)=浜中=は「東日本大震災でここも津波に襲われる危険があると分かった。訓練で少しは不安が和らいだ。私が仕事のときは祖父母にお願いすることになるので、今日の様子を伝えておく」と感想。

 村岡校長は、市道に迎えの車が数珠つなぎになったり、津波から逃げる訓練なのにUターンして学校方向に帰る車があったりしたことを「今後の課題」とし、「訓練を実施したから分かった。これからも改善を重ねながら継続していきたい」と話した。

子供たちは高台に避難後、迎えにきた家族と一緒に帰宅した
子供たちは高台に避難後、迎えにきた家族と一緒に帰宅した


2011年(平成23年) 6月30日(木)付紙面より

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涼呼ぶ「なんぜんじ」作り

 庄内地方で夏の味覚として親しまれている「なんぜんじ豆腐」作りが庄内の各豆腐店で盛んに行われている。

 なんぜんじ豆腐は半球状の形をしているのが特徴で、酒田市の南禅寺屋が元祖といわれる。南禅寺屋の祖先がお伊勢参りの途中で病気になり、路銀を使い果たしたため京都の南禅寺に住み込みで働いた。そこで丸く柔らかい豆腐に出合い、作り方を学んだ後、庄内で「南禅寺豆腐」として売り出したという説がある。

 鶴岡市泉町の難波とうふ店(難波亨代表)では、寒い日が続いた影響で例年より20日ほど遅い5月末ごろから作り始めた。梅雨明けの7、8月ごろに最盛期を迎え、9月10日ごろまで製造するという。

 29日午前中は従業員たちがなんぜんじ豆腐作りに追われた。特製の型に寄せ豆腐を少し山盛りにして入れ、その上に重しを加えて固めた。その後、型から外して冷水に浸し、一つ一つ丁寧に手ですくい上げ、ケースに入れていた。

 難波代表は「原料の大豆は地元のものを使用しており、甘みとつるっとした食感が特徴。暑い日が続くと忙しくなる」と話していた。

なんぜんじ豆腐を丁寧にすくい上げ、ケースに入れていた=29日午前10時ごろ、鶴岡市の難波とうふ店
なんぜんじ豆腐を丁寧にすくい上げ、ケースに入れていた=29日午前10時ごろ、鶴岡市の難波とうふ店



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