2013年(平成25年) 8月27日(火)付紙面より
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鶴岡市早田の道の駅あつみ「しゃりん」で25日、「夕陽(ゆうひ)能」が行われ、日本海に夕日が沈む雄大な景色を背景に、同市山五十川地区に伝わる山戸能(県指定無形民俗文化財)が演じられた。
しゃりんの開設1周年を記念して1992年に始まり、今年で22回目。大勢の家族連れやアマチュアカメラマンらが詰め掛けた。
水平線を望む海岸沿いの特設ステージで、午後5時半に開演。舞台を清める「座揃囃子」に続き、全国でも珍しい稚児舞「恋慕の舞」として本間瑞貴君(山戸小4年)が公達役、山川佑宇弥君(同5年)が姫役で華やかに舞った。
メーンの番能は「賀茂」。海風を受けかがり火が揺れる中、日没に前後して小面などの娘と母、別雷神(わけいかずちのかみ)、天女が次々に現れた。赤く染まっていく空をバックに、シルエットになって厳かに舞う姿に、観客は引き込まれるように見入っていた。
2013年(平成25年) 8月27日(火)付紙面より
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東日本大震災の風化防止などを目的にした、酒田市の中平田コミュニティ振興会(高橋耕輝会長)主催の「サマーキャンドルナイト中平田」が24日夜、統合により今春、138年の歴史に終止符を打った旧中平田小学校跡地で行われた。紙コップを使って市民が手作りした約1000個のキャンドルに火をともしたほか、昭和初期に建てられた洋風木造校舎が幻想的に浮かび上がり、犠牲者の冥福と被災地の一日も早い復興を祈った。
大震災から2年を迎えた今年3月11日、同市の中町モールで開催された「2年目のキャンドルナイト」を主催した同市字新屋敷の生涯学習施設「里仁館」(冨士直志館長)からキャンドルを譲り受け、同振興会が地区民が大勢集まる「納涼夏まつり」に合わせて「キャンドルリレー」という形で初めて企画した。
この日はキャンドルを旧中平田小正面玄関前に配置し、夏まつりに参加していた地区民総出で午後7時すぎ、一斉に点灯。柔らかな炎が周囲を包み、さらに「2013 中平田」の文字を浮かび上がらせた。それに加えて水銀灯が1934(昭和9)年に完成した校舎を照らし出すと、地区民は思い出が詰まった古里の学校、復興半ばの被災地に思いをはせた。
高橋会長は「小学校がなくなり、地区中心部は火が消えたような静けさ。暗さを嘆くよりも地区民、特に若い世代から中平田、そして遠く離れた被災地のことを考えるきっかけにしてもらえたら」と話していた。