2017年(平成29年) 4月2日(日)付紙面より
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鶴岡市のあつみ温泉で1日、今シーズンの朝市の営業が始まった。「あば」と呼ばれる売り子たちの「いらっしゃい」「これ食べてみて」との掛け声が久しぶりに早朝の温泉街に響いた。11月末まで毎日営業する。
初日の1日は、午前6時ごろから市場に温泉宿泊客の姿が。「シシャモキクラゲ、お土産にどう」「温海カブ食べてみて」などと売り子たちの活気ある声が迎えた。天童温泉経由のツアーであつみ温泉に宿泊した小笠原香織さん(43)=千葉市=は「あつみ温泉は初めて。まけてもらおうと思ったけど、だめでした」と笑っていた。
あつみ温泉の朝市は、江戸時代中期、「あば」と呼ばれる海岸部の女性たちが新鮮な魚介類や農産物を露店販売したのが始まりとされる。1989年からは温泉街の中心部にあるあつみ観光協会が管理する木造平屋建ての長屋式店舗で実施。特産物販売などの7店舗が常駐するほか、山菜やサクランボなど、“季節モノ”を扱う店が期間限定で出店する。
出店数は年々減少傾向にあるのが課題。長年出店している佐藤精三さん(60)は「高齢化で出店をやめていく人も多いが、お客さんとの出会いが魅力で続けている」。出店者は通年で募集している。問い合わせはあつみ観光協会=電0235(43)3547=へ。
2017年(平成29年) 4月2日(日)付紙面より
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庄内交通(本社・鶴岡市)などを運営する庄交コーポレーション(國井英夫社長)が商業施設「エスモール」併設のバスターミナルで整備を進めていたリニューアル工事が完成し1日、オープンした。併せて仙台国際空港に乗り入れる新規路線高速バス・仙台国際空港線の運行もこの日からスタート。酒田、鶴岡(エスモール)の両バスターミナルで出発式を行い、地域交通の充実とインバウンド(訪日外国人旅行)の推進に期待がかかる新たな拠点の誕生を祝った。
庄交グループが描く成長戦略の一環として、東北全体が後れを取るインバウンドの推進と、交流人口の拡大による地域活性化を目指す。仙台国際空港線の開始に続き、今月28日(金)からは新たに京都・大阪と直結する高速夜行バスの運行もスタートさせる。
エスモールバスターミナルは、バックヤード部分など総面積約540平方メートルを改修。明るく広くなった施設内に、庄内交通のバスチケット窓口と庄交トラベルのカウンターを並べて配置。待合室は全面ガラス張りの風除室として80席ほどに拡大。テークアウト専用のコーヒーショップも入った。整備事業費は約3億円。
この日は仙台国際空港線の第1便の出発を前に、酒田、リニューアルしたエスモールバスターミナルでそれぞれ出発式。このうち午前7時半から行われたエスモールバスターミナルでは、國井社長が「仙台国際空港は東北を代表するハブ空港。連携しながら地域の成長につなげていきたい」とあいさつ。来賓の仙台国際空港の岩井卓也社長は「陸上交通の充実は大切。出羽三山をはじめとする抜群のロケーションに触れてもらう機会に」と述べた。
その後、予約客22人を乗せた第1便を前に、関係者がテープカット。出羽三山神社の山伏のほら貝が響く中、仙台国際空港に向けて出発した。
出発式に引き続き行われた記者会見では、國井社長が「息の長い活力ある路線に育てていきたい」と抱負。岩井社長は「ついに日本海側に(路線が)達した」と歓迎。鶴岡市の榎本政規市長は「鶴岡の成長戦略に欠かせない、裾野の広い観光に大きなツールとなる」と期待を示した。