2018年(平成30年) 10月5日(金)付紙面より
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人口139人、高齢化率37・4%(平成27年国勢調査)の鶴岡市温海地域の関川地区で、集落の存続に寄与しようと、集落の若者らが、シナノキの花を使った化粧品開発に取り組んでいる。関川に伝わる工芸品「しな織」の原料として古くから利用されてきたシナノキの樹皮に対し、ほとんど活用されてこなかった花に着目。シナノキにまつわる新たな物語を紡ごうと挑戦している。
シナノキの花は、6月下旬ごろに数日間の短い開花を迎える。淡黄色の小さな花は有用な蜜源として使われる地域はあるが、関川ではしな織の樹皮の皮剥ぎ作業と開花時期が重なり、活用は進んでこなかった。
関川では、自治会や住民、市などと連携した「しなの花活用プロジェクト研究会」(会長・五十嵐茂久自治会長)を2016年に組織。3カ年の国の農山漁村振興交付金事業の助成金を活用して、シナノキの花の成分分析を昭和大などへ委託。認められた高い抗酸化作用を生かして化粧品開発に乗り出した。
化粧品の製造は自然化粧品製造販売に15年ほどの実績があるハーブ研究所スパール(庄内町)に委託。乾燥させた花から蒸留して得た抽出成分を基に化粧水とせっけんを作った。いずれの商品もシナノキの花特有の甘い香りが漂う。
販売に当たっては、関川に関わる若者ら4人で会社組織の立ち上げ準備中。中心となっているのは関川在住の五十嵐丈さん(25)。「関川の魅力を伝えながらも地域経済が潤うような仕組みが作れないかと考えた。シナノキ由来の製品販売を通して、生業として受け継がれてきたしな織文化に象徴される関川の魅力発信や、雇用の創出につなげ、関川がなくなってしまう速度を緩めたい」と製品開発への思いを語る。
製造委託費、パッケージデザイン費に充てるとしてクラウドファンディングで資金を募っている。10月9日(火)午後11時までに計150万円を集める計画。
募金は、クラウドファンディング「Readeyfor」で行っている。URLは=https://readyfor.jp/projects/umu-project=。プロジェクトの支援者には金額に応じて化粧品のほか、しな織製品などの特典がある。
2018年(平成30年) 10月5日(金)付紙面より
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庄内町の家根合揚水機場で3日、「魚の学習会」が行われ、余目第一小学校(阿部雅彦校長)の4年生42人が貯水池の魚を捕獲し、種類などを学んだ。
魚の学習会はNPO法人の生態系保全活動センター(佐藤昭一代表)が主催し、環境教育の一環として最上川土地改良区や県庄内総合支庁などと連携し、1998年から毎年実施している。
この日は関係団体から約30人が参加。児童たちは長靴を履いて貯水池に入り、膝辺りまで泥水に漬かりながら魚を捕獲。大きな魚を見つけると、「そっちに行ったぞ」と声を掛け、チームワークを発揮しながらたくさんの魚を捕まえた。
今回はドジョウやウグイ、ニゴイ、モクズガニ、カワニナ、マシジミなど14種類の生き物が見つかった。中にはカワヤツメやマルタニシなどの絶滅危惧種も。改良区の後藤直人さんが魚の名前や特徴を説明。児童たちは地元の豊かな環境について理解を深めた。小林祐希君(9)は「いろんな魚を知ることができて楽しかった。たくさんの魚がいる川をきれいに守りたい」と話していた。
家根合揚水機場は最上川や立谷沢川の流れを引き込み、池にためた水を農業用に家根合地区の水田へ送っている。