2018年(平成30年) 11月9日(金)付紙面より
ツイート
鶴岡市の大山地区に伝わる唄と踊りの「大山いざや巻」は、かつては各町内でお盆時期に10日かけて旧家や造り酒屋を巡り、踊りを披露していた全国的にも珍しい民俗芸能。地区内の民家からこのほど、100年ほど前のいざや巻一行を写した古い写真が見つかった。いざや巻保存会(井上俊男会長)では「祭りや盆踊りが大好きな大山衆の気質や、地域の文化が伝わる写真資料。いざや巻を後世に伝えていく気持ちを新たにした」と話している。
大山いざや巻は、500年ほど前の武藤家の時代から唄い踊り継がれてきた。尾浦(現在の大山)を統治していた3代城主の武藤義勝が戦いに出る際、大将が兵士を鼓舞するため「いざ出陣」と言うと、兵士が「やー」と応えたのが「いざや」の由来といわれる。
旧家の庭などで拍子木と唄に合わせて踊り手たちがせりふを交えながら踊りを披露していたが、いつの頃からか盆踊りとして形を変え、昭和30年代前半まで大山犬祭りの神宿を務める町内で踊り継がれていた。かつて曲節は700巻あったとされるが、現在は32巻を残す。同保存会メンバーと、大山小学校女子児童たちの「キッズ華の会」が受け継ぎ、地区内外の行事で披露している。
見つかった写真は、1920(大正9)年8月に同地区の専念寺で撮影されたいざや巻一行の集合写真で、写真裏面には「観音講連中」と書かれていた。大山二丁目の中村屋菓子店方の中村順子さん(83)が自宅で額などを整理していた際に見つけた。踊り手、拍子木、扇子、ちょうちん持ちなど老若男女総勢40人の中に、同店の先々代の寅吉さん、八重乃さん夫妻も写っていた。同保存会の会員でもある順子さんは「100年も前の写真が出てきて驚いた。夫の祖父母も踊っていたことが分かり、わが家の宝物になる」、井上会長は「写真のように、長い歴史がある大山の伝統芸能。若い人たちに何とか継承し後世につないでいきたい」と思いを語った。
2018年(平成30年) 11月9日(金)付紙面より
ツイート
日独両国の青少年スポーツの指導者が相互交流する「日独青少年スポーツ指導者セミナー」の地方プログラムで、ドイツからの訪問団7人が8日までの3泊4日で庄内を訪れ、施設やスポーツ活動などを視察した。
両国の青少年指導者の資質向上や青少年交流の発展を図ろうと、文部科学省の委託事業として公益財団法人日本スポーツ協会日本スポーツ少年団が主催して1977年から開催。
本年度は3―15日までを全受け入れ期間として実施し、ドイツにおいてスポーツの青少年指導に関わる7人が東京、山形、秋田に滞在。本県への受け入れは県スポーツ少年団(村田久忠本部長)が担当した。
一行は、5日に東京から庄内入り。鶴岡市での小真木原公園内の体育施設や市民プールの視察、羽黒高や朝暘第二小、鶴岡第五中において体育の授業や部活動を見学。このほか羽黒山や加茂水族館、致道博物館、酒田市の相馬樓などの観光も行った。
このうち8日の鶴岡五中の訪問では、2年生の体育の授業を見学。体育館に掲げられた校歌や応援歌、教育目標の内容などへも関心を示したほか、「東京五輪に向けた子どもたちの盛り上がりは」などと質問。バレーボールのゲームにも加わり、生徒たちと汗を流した。
ドイツ柔道連盟の青少年代表として訪問したヴィーゼ・ペーターさん(23)は「スポーツは共通言語とあらためて実感。施設を使用した子どもたちが自主的に掃除していたのが印象深い。そうした意識も自国に戻って伝えたい」と話した。