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2018年(平成30年) 12月31日(月)付紙面より

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新たな「庄内産ワイン」創出の動き

 庄内地方で新たなオリジナルワインの創出に向け、ワイン醸造用ブドウの栽培が本格化している。企業と個人4事業者が新たに栽培に取り組み、一部では既にワインを商品化している。「食の都庄内」に厚みを増す動きでもあり、庄内唯一のワイナリー「月山ワイン」のブランド力向上とともに、新たなワイナリー誕生が「庄内産ワイン」の産地ブランドへとつながることが期待されている。

 庄内のワイナリーは、1979(昭和54)年に製造開始した庄内たがわ農協「月山ワイン山ぶどう研究所」(鶴岡市越中山)だけ。それが、ここ数年で4事業者が相次いで醸造用ブドウ栽培の取り組みをスタートさせ、庄内産オリジナルワイン創出の動きが活発化してきている。

 このうち建設会社の山本組(鶴岡市下川、山本斉社長)の農業生産法人「窪畑ファーム」は2013年から、砂丘地でブドウ栽培を始めた。現在1・2ヘクタールに赤ワイン用のヤマ・ソービニオン、カベルネ・ソーヴィニヨン、白ワイン用のシャルドネなど計2000本栽培。既に苗の購入や栽培指導でつながりのある山梨県のワイナリーに委託醸造して窪畑ファームブランドのワインを造っており、今季は赤と白合わせて1600本のワイン、ぶどうジュースやジャムを製造。今季のワインは年明けにも販売を始める。

 明治維新後、旧庄内藩士たちが開墾した鶴岡市羽黒町松ケ岡地区で、ワイナリー開設を目指すのが鶴岡市のエル・サンの農業生産法人「エルサンワイナリー松ケ岡」(早坂剛社長)。17年から同地区の畑に赤ワインの原料となるピノ・ノワールやメルロー、白のシャルドネを植え始めた。初年度は1500本、18年は白のソーヴィニヨン・ブランを加え800本、19年はさらに3500本を植え、将来的には全体で1万本まで拡大する計画。19年夏には醸造施設も松ケ岡に整備し、20年には醸造をスタートさせる計画だ。エル・サン会長でもある早坂さんは「先人たちが切り開いた畑を守りながら、2世代、3世代と歴史を重ねるワイナリーを中心に、新たな食文化を根付かせたい」と意気込む。

 日本酒酒蔵の楯の川酒造(酒田市山楯、佐藤淳平社長)も17年からブドウ栽培を本格化させた。シャルドネやソーヴィニヨンなどの品種を、酒田市黒森とブドウ栽培が盛んな鶴岡市櫛引地域でそれぞれ3000本の栽培を行っており、関連会社で櫛引地域にある蔵元「奥羽自慢」で醸造を計画する。佐藤社長は「日本酒、ウイスキーとともに海外で日本産ワインの評価が高まっている。庄内産ブドウで品質の高いワインを造りたい」と話す。

 個人でワイナリー・オーナーを目指すのが、外資系金融機関勤務の日向理元さん(54)=東京都世田谷区在住。日向さんの父親は鶴岡市藤島地域出身。庄内への移住を見据え、ワイナリー経営を志向。「ブルゴーニュに負けない世界レベルのワイン」を目指し、酒田市八幡地域の鳥海山南麓の湯ノ台で16年から栽培を始めた。ピノ・ノワール、シャルドネを中心に1・7ヘクタールで栽培しており、将来的には10ヘクタール規模を計画。20年には畑近くに醸造所を完成させる考えだ。日向さんは「冷涼で寒暖差がはっきりしている湯ノ台には、ブルゴーニュやシャンパーニュの秀逸なワインに肩を並べられるポテンシャルがある」とワイナリー立ち上げへの思いを語る。

 国内産ブドウによる「日本ワイン」の需要が高まる中、「月山ワイン」とともに庄内産ワインの新たな動きが注目される。

エルサンワイナリー松ケ岡が、鶴岡市の松ケ岡開墾場周辺で栽培するブドウ畑(左)窪畑ファームが砂丘地栽培のブドウで醸造したワイン
エルサンワイナリー松ケ岡が、鶴岡市の松ケ岡開墾場周辺で栽培するブドウ畑(左)窪畑ファームが砂丘地栽培のブドウで醸造したワイン


2018年(平成30年) 12月31日(月)付紙面より

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被災地つなぐ販売支援活動

 東日本大震災で被災した宮城県南三陸町の障害者施設利用者がデザインしたグッズを仕入れて庄内地域で販売、それで得た収益全額を自然災害に見舞われた全国の福祉施設に贈る支援活動を展開している東北公益文科大学(酒田市、吉村昇学長)の災害復興サークル「チームmoreE」(後藤千花代表、15人)はこのほど、今年の活動実績をまとめた。グッズ販売を9回計10日間行った結果、売り上げは6万8850円、収益は1万3770円。サークルが得た収益は全額、今年8月の記録的な大雨で大規模な被害が出た戸沢村の社会福祉協議会に寄付する。

 moreEは、公益大震災復興教育プロジェクトの一環で南三陸町を訪問、復興支援について理解を深めた学生が、同町の現状を広く知ってもらおうと2016年6月に設立した。

 同町は南米・チリ共和国と交流があり大震災発生後、同国イースター島に立つモアイ像が贈られ、同町の障害者就労支援事業所「のぞみ福祉作業所」が販売するカップやタオルなどのグッズには、利用者がデザインしたモアイが描かれている。サークル名はモアイにちなみ、more(=もっと)に▽縁を▽援助を▽笑顔を―という願いを込めて頭文字の「E」を付けた。

 3年目の今年は、のぞみ作業所の商品を仕入れ、日向コミュニティセンター(酒田市)で5月に行われた「NicoNicoマルシェ」を皮切りに、鶴岡市の南銀座夏まつり、大学祭「公翔祭」、酒田青年会議所主催「うきうき防災フェス」など9回計10日間にわたって「店開き」した。

 活動実績によると、今年の売り上げは6万8850円。この他、各会場で募った浄財が1万2450円に達したという。既に上半期の売り上げのうち8割に当たる3万640円はのぞみ作業所に届け今後、下半期の売り上げも手渡す。収益全額は戸沢村社協へ、会場で寄せられた浄財は、今年7月の西日本豪雨で大規模な洪水に見舞われた岡山県倉敷市のNPO法人「岡山マインド『こころ』」に寄付する。

 後藤代表、金子要副代表(いずれも2年)は「全国各地で自然災害が相次いで発生している。売上金、寄付金をただ手渡すだけでなく、炊き出し、現地の学生との交流など、サークルとして今後、さまざまな活動展開を考えていきたい」と話し、「これまでの販売活動は庄内地域のみだった。来年は内陸地域でも『店開き』できたら」と続けた。

自然災害の被災地を「つなぐ」活動を展開するチームmoreE。今後は内陸地域での販売も視野に入れる=今年7月21日、鶴岡市内、チームmoreE提供
自然災害の被災地を「つなぐ」活動を展開するチームmoreE。今後は内陸地域での販売も視野に入れる=今年7月21日、鶴岡市内、チームmoreE提供



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