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荘内日報ニュース


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2018年(平成30年) 1月12日(金)付紙面より

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庄内大雪 除雪車フル稼働

 強い冬型の気圧配置の影響で、10日午後から11日朝にかけて庄内の広い地域で大雪となった。列車の運休や空港の欠航があるなど交通機関にも影響。鶴岡市街地でも積雪約50センチを観測し、除雪車もフル稼働して除雪作業が行われた。山形地方気象台によると大学入試センター試験が行われる13、14の両日については今回の寒気が弱まり大崩れはない見込み。

 同気象台によると、10日から11日は北日本の上空約5000メートルに氷点下36度以下の寒気が流れ込んで強い冬型の気圧配置となり、同日朝にかけて庄内全域でまとまった降雪となった。

 鶴岡市によると、市内の11日午前8時半現在の24時間降雪量は、鶴岡公園42センチ、藤島庁舎前37センチ、羽黒庁舎前46センチ、櫛引地域桂荒俣48センチ、朝日地域の立岩60センチ、大網では51センチ、温海地域の温海庁舎前6センチ、温海川では43センチ。また、同気象台によると、11日午前9時現在の24時間降雪量は酒田で24センチ、庄内町狩川で55センチ。

 鶴岡市では市内全域の除雪車計約315台がフル稼働。市民も雪かきに追われた。11日午前8時から自宅前で作業した前田利幸さん(70)=同市稲生二丁目=は「市内では今シーズン一番の量では。けがに気を付けて作業したい」と話した。

 12日にかけて今回の寒気は抜けて一時緩むため、大学入試センター試験の13、14の両日には、大雪の影響は少なくなるという。

 降雪の影響により11日午前、JR羽越本線は普通列車が上下線計2本運休、いなほなどに遅れが出た。また、庄内空港は10日、庄内発東京行き全日空第4便(400便)が欠航したほか、東京発庄内行き同第4便(399便)は出発したものの、羽田空港に引き返し、折り返しとなる11日の第1便(394便)とともに運航を取りやめた。県庄内空港事務所によると、3便合わせて347人が搭乗を予定していた。

市内全域の除雪車もフル稼働した=11日午前、鶴岡市稲生二丁目付近
市内全域の除雪車もフル稼働した=11日午前、鶴岡市稲生二丁目付近


2018年(平成30年) 1月12日(金)付紙面より

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世界一のレストランで研修へ 渡部さん(アル・ケッチァーノ料理人、酒田出身)県知事を表敬

 鶴岡市のイタリアンレストラン「アル・ケッチァーノ」料理人の渡部駿さん(26)=酒田市出身=が10日、県庁を訪れ、イタリア・モデナのミシュラン三つ星レストラン「Osteria Francescana」(オステリア・フランチェスカーナ)で研修することを吉村美栄子知事に報告した。渡部さんは「夢のようなレストランで学んだことを持ち帰り、山形で役立てたい」と抱負を述べた。

 渡部さんは酒田六中、羽黒高出。アル・ケッチァーノの奥田政行オーナーシェフの料理に感動し新潟の専門学校を卒業後、奥田シェフの下で働き始めた。アル・ケッチァーノや東京・銀座のレストラン「山形サンダンデロ」で経験を積み、2015年10月に開催されたイタリア・ミラノ国際博覧会に本県から実演者として参加。そのままイタリアにとどまり、同国のレストランでイタリアンの基礎を学び続けた。

 今回、渡部さんが研修に入るオステリア・フランチェスカーナは、16年「世界のベストレストラン」第1位を獲得し、世界中から料理人が修業を希望して集まってくるレストラン。現在も予約が取れないほど人気があるという。渡部さんはイタリア滞在中、知り合いのシェフから推薦を受け、半年がかりで履歴書を作成。昨年10月に採用が決まった。

 この日、奥田シェフと共に県庁を訪れた渡部さんは、吉村知事に「夢のようなレストランで吸収したことを、いずれ山形のために生かしたい」と決意を表明。吉村知事は「世界一のレストランで頑張ってきてほしい。いつか渡部さんが自分の店を開いたら食べに行きます」と激励した。また、奥田シェフは「普通なら簡単に入れないレストラン。多くのことを学び、いつか山形の豊かな食材を全て使いこなせるような料理人になって戻ってきてほしい」と期待を寄せた。

 渡部さんは「オステリア・フランチェスカーナは五輪や博覧会などで残され、普通は捨てられてしまうような食材を生かして料理を作り、貧困者に配るなど社会問題に取り組んでいる。自分も2020年の東京五輪までに日本に戻って、山形や東京で同じような取り組みに挑戦したい。そのためには料理のベースをきちんと学ばなければならない。地に足を着け、一歩一歩進んでいきたい」と話していた。

世界最高峰のレストランで研修する渡部さん(右)。奥田シェフ(中央)と共に県庁を訪れ、吉村知事と懇談した
世界最高峰のレストランで研修する渡部さん(右)。奥田シェフ(中央)と共に県庁を訪れ、吉村知事と懇談した


2018年(平成30年) 1月12日(金)付紙面より

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森の時間120 終 ―山形大学農学部からみなさんへ―

 「森の旅2016」(2006年以来、毎年「森の旅」でドイツを訪問しています)で、フライブルクから南西へ約15キロ、シュヴァルツヴァルト(黒い森)の西側に張りつくように佇(たたず)む温泉保養地、バート・クロッチンゲンを訪れました。人口2万人弱の小都市ですが、保養・観光地として100年ほどの歴史を有しています。

 こじんまりした駅を降りると、駅前通りは商店街になっています。ドイツの町は、小さくてもその町の中で一通りの買い物ができる商店がそろっているのが特徴です。この町も温泉で療養しながら、不便なく日常生活を営むことができます。

 広い緑地帯のなかほどにツーリスト・インフォメーションの建物がありました。周辺は世界中から集められた珍しい樹木たちの見本園になっています。でも、決して植物園のようではなく、木々たちは自然な感じで配置されています。

 クアハウス(温泉施設)はもう少し奥にありました。最初に医師の問診や診察を受けてから、その人に合った温泉療法のレシピが処方されるのがドイツ方式だそうです。僕のドイツ人の恩人であるB氏も先ごろ心臓の手術を受けた後、ここでしばらく療養し、みごとに日常生活に復帰されました。

 クアハウスの内部も見学させていただきました。和式と思われる湯船を発見して驚きましたが、大分県の竹田市と交流があり、日本から職人を招いて整備した浴室だとか。そんな裸のつきあいがあったとは知りませんでした。建物の一角にカフェレストランがありました。ちょうど、バイオリンとベースとピアノによるミニクラシックコンサートが開かれるところでした。温泉で療養しながらおいしいコーヒーを飲み、素敵な音楽を聴く。緑に囲まれた癒やしの空間で、人々はそれぞれの健康を回復していくのでしょう。

 さて、バート・クロッチンゲンを含む南シュヴァルツヴァルト自然公園では、毎年さまざまなプロジェクトが進められています。最近紹介してもらったプロジェクトの中で印象的だったのは「バイク・ツーリング・イン・シュヴァルツヴァルト」(ドイツ語でバイクは自転車のこと)。緑の森の中を自転車で走るのですが、電動アシスト付き自転車を準備したり、手荷物を別送するしくみを作ったりして、熟年や中高年のためのサービスにも余念がないのに感心しました。

 もう一つは、「ジビエ料理プロジェクト」。自然公園内に棲(す)む野生動物の頭数調整のための狩猟で得られたジビエ肉を公園内にあるレストラン限定で提供するというものです。自然公園にはこのような契約(協力)レストランやカフェがいくつもあって、訪問客にここならではのサービスを提供しています。
 毎年、シュヴァルツヴァルトを訪れるたびに、ここの生活には森がよく活かされているなぁと感心します。森という「空間」も、そこからもたらされる「恵み」も、緑の空間が身近にあるという精神面での「癒やし」も、人々の生活の中に幅広く、かつ深く浸透しています。「森林文化都市」を標榜(ひょうぼう)する鶴岡市ですが、私たちの生活の中にも、もっと、もっと、森の存在を、森の恵みを、活かしていく試みに挑戦していければと思います。

 さて、10年間、計120回にわたって連載してきた「森の時間」ですが、今回を持っていったん連載を終えたいと思います。読者のみなさんから絶えず温かい励ましをいただきましたことに心から感謝いたします。最後に、主たる執筆者としてこの連載をけん引し、鶴岡・山形のブナの森をこよなく愛してやまなかった、故小山浩正氏の冥福を改めて祈りたいと思います。

(山形大学農学部教授、専門は園芸学および人間・植物関係学)

南シュヴァルツヴァルトの典型的な風景。谷あいに民家(多くは農家で、民宿も営んでいます)。周囲に牧草地があり、その上側には森林が配置されています(2016年12月1日)
南シュヴァルツヴァルトの典型的な風景。谷あいに民家(多くは農家で、民宿も営んでいます)。周囲に牧草地があり、その上側には森林が配置されています(2016年12月1日)

「バート・クロッチンゲン」(バートはドイツ語で温泉の意)のシンボルモニュメント。右側にいる元気がない人たちが温泉療法によって元気を取り戻す姿が表現されています(2016年12月2日、それぞれ筆者撮影)
「バート・クロッチンゲン」(バートはドイツ語で温泉の意)のシンボルモニュメント。右側にいる元気がない人たちが温泉療法によって元気を取り戻す姿が表現されています(2016年12月2日、それぞれ筆者撮影)



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