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2018年(平成30年) 2月2日(金)付紙面より

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庄内の日本遺産活用を考える

 庄内地域の3つの日本遺産にスポットを当てた「庄内観光交流講演会」が31日、酒田市のガーデンパレスみずほで開かれた。初代観光庁長官で国連世界観光機関(UNWTO)駐日事務所代表の本保芳明さんの講演と、県国際戦略検証委員長を務めるプランニング・ディレクターの古田菜穂子さんとの対談を通じ、日本遺産を活用した庄内の観光振興策について考えた。

 庄内は3つの日本遺産(出羽三山、北前船寄港地、サムライゆかりのシルク)がある全国でもまれな地域。今回は、本保さんと古田さんがUNWTOの世界観光会議(2月1―3日、山形市内など)に出席のため来県したのに合わせ、庄内開発協議会(会長・丸山至酒田市長)、庄内観光コンベンション協会(会長・皆川治鶴岡市長)などが主催。庄内地方の行政や観光関係者ら約130人が参加した。

 初めに本保さんが「庄内の日本遺産を強力な宝にするためには?」と題して基調講演。庄内については「水田の広がりや山、海の景観、出羽三山などの伝統、歴史など素晴らしいが、あまり注目されてこなかった」とした。最近、日本遺産認定や外国クルーズ船の寄港などの動きが出て、注目を集めつつある背景については「もともとの魅力の豊かさとインバウンド(外国人観光客)急拡大の追い風、北前船寄港地フォーラムなど長年努力してきた成果」と分析。さらなる飛躍に向けては努力の継続とともに「資源の磨き上げ」の必要性を挙げ、「相手が求めている価値あるもので、自分が提供できるものをきちんと出すことが大切。単なる田舎自慢や、自分の持ち分でないところで頑張っても駄目」などとアドバイスした。

 続く対談で、古田さんは「東北には外国人にとって未知で、神秘的なイメージがある。特に山形は多様性があり、宗教でない、人の心に届く精神文化が観光資源になっている。特に庄内は顕著」と、身近に山伏がいたり、当然のごとく混ぜ物のない餅を出す風土などを挙げ、「そうした文化を外国人にその人の言葉で語ってもらう戦略が必要」と発信の在り方を提言。ターゲットには、短期的にはアジアも大切としながらも、長期的には精神文化への関心が高い「欧州」を見据える方向性を示した。

 本保さんは「日本遺産に寄り掛からないでほしい。日本遺産は外国人にとってまだ何かよく分からないもので、世界遺産より下だと思われる。山形、庄内が自信ある資産だというところから出発して」と訴えた。

対談で庄内の観光振興策を語った本保さん(左)と古田さん
対談で庄内の観光振興策を語った本保さん(左)と古田さん


2018年(平成30年) 2月2日(金)付紙面より

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伝統的作法を体験

 鶴岡市と戦略的連携協定を結ぶイタリア食科学大の学生が食文化を学ぶ「鶴岡フィールドスタディプログラム」が2日まで4泊5日の日程で鶴岡をフィールドに行われ、学部生15人が食や作法など日本文化を学んでいる。学部生たちは出羽三山の里である鶴岡で学んだ後、伊勢神宮のある三重県も訪れ、国内での食の比較や信仰に根差した食文化の違いなどに理解を深める。

 鶴岡市が国内で唯一のユネスコの食文化創造都市に認定されていることを縁に、2016年12月に食科学大と3カ年にわたる協定を締結。同大の学生が研修として鶴岡を訪れ、歴史や食文化、酒や在来作物といった分野にも理解を深めている。

 今回も鶴岡フィールドスタディとして、日本酒や懐石料理、修験道に基づく精進料理などを学ぶ内容を企画。世界80カ国から学生が集まり食文化を学ぶ食科学大の2年生でイタリア、イスラエル、スイスの3カ国出身の男女学生15人が参加。29日に来日し、30日朝に東京・築地市場で競りを見学した後、空路で庄内入り。同日夜は湯田川温泉で日本酒や米のレクチャーを受けた。

 2日目の31日は、県栽培漁業センターで栽培漁業について聞いた後、鶴岡市立加茂水族館で同水族館併設のレストランの須田剛史料理長が包丁技術の実演。フグの刺し身で鶴を作る技などを披露した。引き続き、あつみ温泉の旅館「たちばなや」に移動し、茶道体験。茶道裏千家淡交会参与の成澤英子さん(80)らを講師に迎え、茶席のお点前を受けた。

 緋毛氈(ひもうせん)が敷かれた会場で成澤さんは掛け軸やお香、季節の花などを紹介しながら、「ゲストを敬う」といった茶道の心得を紹介。練り切りをいただいた後にお茶を味わい、自分たちでお茶をたてる経験もした。

 スイス出身のジェンナ・マッティシュさん(27)は「日本は初めて。北の羽黒と南の伊勢の文化の違いを見てみたい。伝統的な食事や作法の一つ一つの意味や神社やお寺に働く人たちにも興味がある」と話していた。

 一行は1日に出羽三山神社を正式参拝し、精進料理のレクチャー。2日は春日神社で黒川能を見学するなどし、3日に伊勢へ移動する。

カプチーノを作るように小さい泡を立てて―。自分たちでお茶をたてる体験をするイタリア・食科学大の学生たち=31日、あつみ温泉たちばなや
カプチーノを作るように小さい泡を立てて―。自分たちでお茶をたてる体験をするイタリア・食科学大の学生たち=31日、あつみ温泉たちばなや



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