2019年(令和1年) 12月5日(木)付紙面より
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来年2月に控える「第25回大山新酒・酒蔵まつり」のチケット販売が、今月15日(日)から始まる。6月の本県沖地震で被災した鶴岡市大山地区の4酒蔵は、ちょうど寒仕込みの最盛期を迎えたが、復旧状況には差がある。「今まで通りの仕込みは到底できない」「応援消費の恩返しも込めてお客さんを迎えたい」。関係者はさまざまな思いで節目のまつりを見据える。
6月18日に発生した地震では、出荷待ちの商品をはじめ、醸造設備や施設が被災。規模は4酒蔵で差はあり、加藤嘉八郎酒造は年間生産高の約2%に当たる1万本以上が何らかのダメージを受けて一般流通が困難になったという。
新酒の仕込み時期を迎え、喫緊の設備復旧工事は済ませた酒蔵から、復旧がままならないところまでさまざまだ。深刻なのが羽根田酒造。「応急手当て状態での商売」といい、醸造設備の復旧工事を進めながらの仕込みという。
麹(こうじ)の枯らし場や冷蔵設備などを一新させることができた加藤嘉八郎酒造でも、外壁などに地震の傷痕が残る。取締役業務統括の加藤嘉隆さん(44)は「醸造設備は整えられた。地震の復旧応援で、多くの方から支援をもらった。おいしい酒を用意してまつりのお客さんを迎え、恩返ししたい」。
25回目の節目を迎えるまつりは、大山のPRとともに地酒の消費拡大や交流人口増加、地域振興につなげようと、関係者で実行委員会を組織して1996年から毎年継続。羽根田酒造(白梅)、渡會本店(出羽ノ雪)、冨士酒造(栄光冨士)、加藤嘉八郎酒造(大山)の4酒蔵で寒仕込みの新酒が味わえるイベントとして人気が高い。前売り券販売では例年長蛇の列ができ、中でも「大山新酒を楽しむ会」のチケットは即完売となっている。
被災という受難に見舞われた今回は、25回を記念して計5種のオリジナル缶バッジのプレゼントなど内容を充実。消費で酒蔵を応援してもらおうと販売ブースも多く設けた。各酒蔵の状況によっては、酒蔵めぐりのルートが制限される箇所も出てきそうだ。
チケットは▽4酒蔵を巡って振る舞い酒などを楽しむ「酒蔵めぐり」(1600円)▽指定席で数十種類の銘酒・新酒や、小料理を味わう「大山新酒を楽しむ会」(3500円)▽コミセンで各蔵元自慢の大吟醸クラスを飲み比べる「大山4蔵元厳選8種飲み比べ」(1500円)―の3種。酒蔵の支援も込めて値上げした。
まつり全体の問い合わせは出羽商工会本所=電0235(33)2117=へ。
2019年(令和1年) 12月5日(木)付紙面より
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県立酒田東高校(五十嵐文彦校長)の生徒有志5人が、7日(土)開幕の日本化学会関東支部新潟地域懇談会主催「新潟県化学インターハイ」に出場する。高校生・高専学生が化学の実力を競い合う大会で、新潟県以外からの出場は初めてのケース。大会を前に3日午後、共催する新潟大学理学部の則末和宏准教授(化学)が同校を訪問。出場生徒たちに化学物質、実験器具の扱い方を中心に指導するとともに、激励した。
化学への興味・関心を喚起し意欲・能力を高める機会を提供するとともに、互いに切磋琢磨(せっさたくま)し合うことで、さらに深く学ぼうとする強い動機付けを育んでもらおうと、20歳未満の高校生や高専学生を対象に毎年開催している大会。今年で9回目。主として3人でチームを編成し、筆記試験、基本・中級・上級の実験3種で化学の力を競う。
「理系の生徒に活躍の場を与えたい」という思いから、同校で化学を教えている本間寛行教諭が昨年の大会を視察。県外生徒の出場も可能と分かり、本年度に入って希望者を募集した。科学部員を中心に3年1人、1、2年各2人の計5人から申し出があり今回、2、3人ずつ2チームに分かれて大会に挑む。
この日は出場生徒のうち4人が参加。則末准教授は、大会で出題される実験のうち、試料にどんな重金属が含まれているか実験を通して解析する「無機イオンの定性分析」、酸や塩基の濃度や量を求める「混合物の中和滴定」について実験方法を示しながら、分かりやすく解説。普段は使わない実験器具もあり、生徒たちは悪戦苦闘しながらも熱心に学んでいた。
出場生徒の1人で科学部長を務めている2年、冨樫卓見さん(16)は「本間先生から声を掛けられて出場を決めた。手早く正確に実験を行いたい」と。則末准教授は「机上の勉強と実際に手を動かして行う実験は違うということを感じてもらえたら」と話した。主催者によると、大会は初日に筆記、8日(日)に実験。表彰式と閉会式は15日(日)に行うという。会場はいずれも新潟市の新潟大学内。
一方、「県外から初めての出場」ということでこの日、新潟総合テレビ(NST)のカメラクルーが同校を訪れ、生徒の奮闘ぶりを取材。これを含め大会の模様は来年1月13日(月・祝)にNSTで放送するという。