2020年(令和2年) 1月7日(火)付紙面より
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酒田市市条の八幡神社(小野信幸宮司)で6日早朝、江戸時代から続く神事「鬼遣(や)らい」が行われた。氏子たちが独特の掛け声に合わせてケヤキの枝を床にたたき付け、今年一年の災厄を払った。
同日に行われる追儺(ついな)行事の一つとして同神社に伝わる神事。武具を製造する農民の姿が変化したという説もあり、江戸時代中期の宝暦年間(1750―64年)から250年余も続いている。
揺らめくかがり火が周囲を照らす中、ケヤキの枝の先端を15センチほど折り返した長さ1メートル弱の「ねじり木」を持った氏子が午前6時すぎから三々五々、同神社を訪れた。拝殿に座った氏子たちは「ヤッセーガダガダ」という掛け声に合わせ、頭上まで振りかざしたねじり木を勢いよく床にたたき付けた。
拝殿内には掛け声とともに「バン、バン」という音が響き渡り、ねじり木は10分ほどでボロボロに。ねじり木は自宅に持ち帰り、厄よけとして玄関先に飾るという。
2020年(令和2年) 1月7日(火)付紙面より
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酒田市飛鳥の飛鳥神社(佐藤ふじ子宮司)で5日夕、伝統行事「裸詣り」が行われ、小雪がちらつく中、下帯姿の男性たちが冷水を浴びて参拝し、五穀豊穣(ほうじょう)や身体堅固、地域の安寧を願った。
病気や農作物被害をもたらすつつが虫を退治するため、この虫をかたどった大松明を焼き、五穀豊穣などを祈願する年越し行事「松例祭」の一環。主役の松若勢(まつわかぜ)と年男たちが祭礼前、冷水で身を清めたのが始まりといわれる。一時途絶えていたが、1977年に旧平田町の青年による「平田の行事を楽しくする会」が復活させ、その後、氏子会が引き継ぎ、続けている。
今年はインフルエンザが流行したことを考慮し、例年参加している小中学生は自粛。21歳から50歳までの男性9人が参加した。下帯と足袋だけの姿となった参加者は、午後6時半から本殿で祈祷を受けた後、本殿南側の仁王堂の周囲を1周。堂前の「お清め場」で冷水を浴び、本殿に参拝することを3回繰り返した。
時折小雪がちらつく中、裸の男性たちは「わっしょい、わっしょい」と勇ましい掛け声とともに走った。お清め場でしゃがみ、世話役の女性たちが肩口から冷水を掛けると、男性たちは「おーっ」などと声を上げ、必死の形相でこらえた。
初めて参加したという遊佐町野沢の消防職員、佐藤雄大さん(22)は「気合を入れてきたが、想像以上の冷たさで、まだ修行が足りないと思った。家族が健康で、病気なく過ごせるようという思いを込めた。来年もやりたい」と話した。