2021年(令和3年) 11月25日(木)付紙面より
ツイート
出羽三山神社(宮野直生宮司)の新嘗(にいなめ)祭が23日、鶴岡市の羽黒山頂の合祭殿で行われた。
新嘗祭は、農作物が順調に収穫できたことを感謝する祭り。五穀豊(ほう)穣(じょう)を祈願する「御田植神事」(5月8日)、稲の順調な生育を願う「花祭り」(7月15日)に続く同神社の3大例祭として知られている。
この日は宮野宮司が祝詞を読み上げた後、12年に1度の丑(うし)歳御縁年の年にしか舞われない「神主舞」が奉納された。合祭殿には各企業の代表者や個人が参列。玉串をささげ両手を合わせていた。
宮野宮司は「コロナ禍を一つの教訓として捉え、前向きに考えることが大切。今後も神職一同、先人が築いたお山を守っていきたい」と語った。
2021年(令和3年) 11月25日(木)付紙面より
ツイート
鶴岡市山五十川の河内神社の例祭が23日行われ、山五十川公民館では、同地区に数百年前から伝わる「山戸能」と「山五十川歌舞伎」が奉納上演された。
山戸能は866年、諸国の名山を巡っていた貴族の一人が山五十川に住み、能を伝えたことが起源とされている。山五十川歌舞伎は1800年ごろ、疫病をはらい、村を救った殿山鉄門海上人へのお礼として地元の若者たちが芝居を演じたことから始まった。
いずれも県の無形文化財に指定されており、現在は山戸能一座(三浦市樹座長)と山五十川歌舞伎一座(尾上菊之丞座長)が伝承。毎年河内神社の例祭(5月3日、11月23日)で奉納上演している。今年は新型コロナの影響で春の例祭が中止になったため、1年ぶりの上演。多くの観客が訪れ、山五十川の伝統芸能を楽しんだ。
能では、稚児舞「恋慕の舞」、国家安穏や五穀豊(ほう)穣(じょう)を祈る「式三番」のほか、源頼光の四天王の綱が羅生門に巣くう鬼神と戦う「羅生門」を上演。綱が鬼神の腕を切り落とすシーンでは観客が固唾(かたず)をのんで見守り、鬼を退散させると大きな拍手が起こった。
歌舞伎では、仮名手本忠臣蔵の三段目「足利館門全身物の場」と「足利館松の間刀傷の場」を上演。塩冶判官が殿中で刀を抜き、師直に切りかかる緊迫したシーンや、おかるを思う鷺坂伴内の大胆な演技などが観客を魅了した。上演の最後には尾上座長が「伝承はわれわれの使命。今年も皆さんのご協力で開催できました」と話し、会場全員で三本締めを行った。
三浦座長は「役者たちは、ぜひ観客の前で演じたいという思いがあった。羅生門は、平安時代に流行した疫病を鬼に見立て追い払っていた背景があるので、コロナ退散も兼ねて上演した」と振り返った。