2022年(令和4年) 5月5日(木)付紙面より
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遊佐町小原田の農業・伊藤大介さん(42)方で幻のもち米といわれる「彦太郎糯(ひこたろうもち)」の育苗が始まった。田植えを経て9月下旬に収穫する予定。今秋には酒田市浜中の酒造会社「オードヴィ庄内」とタイアップし、彦太郎糯を100%原料にした日本酒(純米酒)を約300本造り、販売する。
彦太郎糯は遊佐町豊岡が発祥とされている。かつては東北で広く栽培されていたが、背丈が1メートル70センチ前後まで成長し強風で倒れやすいことから農家から敬遠されるようになった。昭1960年に県の奨励品種から外れ、一時は育てる農家が途絶えてしまったらしい。
伊藤さんは2006年に種を保存するため栽培を続けている鶴岡市藤島の県農業総合研究センター・水田農業研究所から彦太郎糯の種を譲り受けて「復活」に取り組んだ。現在、遊佐町内で栽培しているのは伊藤さんと白井新田の齋藤武さん(48)ら合わせて4人。伊藤さんと齋藤さんが収穫した彦太郎糯は東京、愛知、福岡の菓子店に出荷し大福の原料に使われている。このほか例年12月に丸餅にして道の駅「鳥海ふらっと」で販売、「もちもちとした歯ごたえがあっておいしい」とすぐ売り切れる人気商品となっている。
昨年、「オードヴィ庄内」で試験的に彦太郎糯の日本酒を醸造。インパクトのある独特な味に仕上がった。今年は本格醸造し、遊佐町のふるさと納税返礼品に扱ってもらう予定。遊佐の「幻の酒」として町をアピールしたい考えだ。
町産業創造係の担当者は「希少価値の高い日本酒だけに喜ばれると思う。町のことを思って取り組んでもらい、とてもありがたい」と返礼品のラインナップに加えることを検討している。
彦太郎糯のほかにササニシキやつや姫、雪若丸、古代米の特別栽培に取り組む伊藤さんは「日本酒は寒仕込みをへて来年2月にはできると思う。飲みやすさというよりも個性を楽しむ通好みの酒。彦太郎糯初の6次化商品として町をアピールできれば。今後も齋藤さんたちと共に地域の宝物を絶やさないよう作り続けたい」と話している。
2022年(令和4年) 5月5日(木)付紙面より
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鶴岡市馬場町の荘内神社(石原純一宮司)で4日、「泣き相撲」が始まった。赤ちゃんを対象に「大きな声で泣いたほうが勝ち」というユニークなイベント。生後4カ月から2歳児までがエントリーし、元気な泣き声を響かせた。
5月5日の「こどもの日」に合わせて、幼児の健やかな成長と健康を願おうと始まった。今年で7回目。4、5の両日合わせて鶴岡市内などから138人が「出場」する。
初日の4日は、神社の拝殿で健康を祈願した後、「取組」がスタートした。東西に分かれた赤ちゃんはねじり鉢巻きをして「見張って、見張って、はっけよーい、のこったー」。
石原宮司が行司を務め、元気に泣いた赤ちゃんに軍配を上げた。会場の参集殿には、赤ちゃんの父母や祖父母たちが集まり、元気な取組に笑顔があふれていた。
石原宮司は「もともと泣き声で邪気をはらい元気な声を神様に聞かせる、という意味がある。家族そろって成長の思い出にしていただければうれしい」と話していた。
2日目の5日は第1取組が午前10時、第2取組が午前11時、第3取組が午後2時から行われる。