2023年(令和5年) 1月17日(火)付紙面より
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「羽黒山杉並木の保全に役立ててもらおう」と鶴岡市の羽黒高校(加藤和司校長)の生徒がクラウドファンディング(CF)で保全活動の費用を求めたところ目標額の100万円を上回る115万2000円の支援があった。近く杉並木を管理する出羽三山神社に手数料を除いた全額を寄付する。
普通科3年生の男女グループ12人が昨年4月から「探究学習」の中で出羽三山神社の森林技師を講師に杉並木の現状を聞いたり視察するなどの学習を進めてきた。参道に重機が入れないため枯れたスギ1本処理するのに約25万円を必要とすることや、倒れそうなスギにワイヤを取り付けて安全を確保していることも学んだ。
生徒からは「地域の大切な遺産」「後世に残したい」という意見が上がり、保全に向けてCFを活用することにした。昨年11月から今月10日までの期間で募った結果、89人が支援。目標額を15万2000円上回り成立した。協力してくれた人には感謝を伝えるメールと活動の動画をリターンとして送るほか、支援者の名前を随神門近くに掲示する。
探究学習リーダーの板垣瑠夏さんは「最初は目標額に届くか不安だった。協力してくれた人たちに感謝したい。こうして応援してくれる人たちがたくさんいることを今回の活動を通じて感じた」と語った。
生徒たちの探究学習を担当している春山連教諭は「近く生徒たちが直接、出羽三山神社の担当者に保全活動の支援金として手渡したい。生徒たちは学習を通じて杉並木を守る大切さと同時に、自分たちの活動に賛同した多くの人たちの心の温かさというものも学んだと思う」と話した。
「羽黒山・杉並木」は1955(昭和30)年に国の特別天然記念物に指定された。随神門から羽黒山頂にかけての約1・7キロで、石段の参道を中心に左右8メートルの杉並木が対象エリアとなっている。国内で杉並木の特別天然記念物の指定を受けているのは日光(栃木県)と羽黒山の2カ所だけ。植林して約400年経過し老木化が進んでいる。
2023年(令和5年) 1月17日(火)付紙面より
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新型コロナウイルス感染症の影響で2020年以降中止していた庄内町千河原地区に伝わる伝統行事「やや祭り」が15日、3年ぶりに同地区の八幡神社で行われた。上半身裸の子どもたちが肩口から冷水を浴び、無病息災や身体堅固を願った。
やや祭りは、安産の神様を祭る同神社の歳越祭の異称。弥生時代に在位した第15代応神天皇の皇子・大山守命(おおやまもりのみこと)が跡継ぎの争いで悪臣に追われ、千河原の妊婦にかくまってもらった際に「私は死んでも神となっておまえたちの身を守る。難産のときは私の名前を唱えよ」と言い残した伝説が祭りの起源とされる。
祭りの名前の由来は、若者が手にしたわらで互いにたたき合った風習の掛け声が「ヤー、ヤー」だったという説や、子どもを示す京都なまりの「やや」が元など諸説ある。
子どもたちが主役の祭りで、上半身裸の男の子たちがわらを編んだ「けんだい」と呼ばれる腰巻きを身に着け、両手にろうそくを持って冷水を浴び、無病息災や身体堅固を祈願する。今年は小学2年―6年の6人が参加した。
この日は小雨が降るものの比較的穏やかな天候だったが、日中の気温は5度前後。子どもたちが1人ずつ境内に設置された祭壇に立つと、白装束の大人たちが肩口から勢いよく冷水を浴びせた。体を震わせながらも寒さをぐっとこらえる姿に、集まった見物客や家族からは「よく頑張った」「いいぞ」などの声援とともに大きな拍手が送られていた。