2025年(令和7年) 5月10日(土)付紙面より
ツイート
三川町は8日、働き手と企業のマッチング事業を手掛ける「タイミー」(本社・東京都港区、小川嶺代表取締役)と包括連携協定を結んだ。
若者の首都圏流出で人手不足が深刻化する中、地域の労働力の確保につなげようと三川町が「タイミー」にアプローチした。
この日、町役場で行われた締結式には阿部誠町長とタイミー地方創生グループの葛西伸也マネージャーが出席。お互い締結書にサインし固い握手を交わした。
阿部町長は「全国的なネットワークを持つタイミーさんと締結を結び、とても心強く思う。(町内)労働力不足解消の足掛かりにしたい」、葛西マネージャーは「山形県内の自治体で包括協定を結んだのは三川町が初めて。これから地域の事業者や町民に広く私たちのマッチングシステムを伝え、潜在的な労働力の掘り起こしも進めたい」とあいさつした。
「タイミー」は2017年に設立した。社員数は1506人(今年4月現在)。アプリ上で「働きたい時間」と「働いてほしい時間」をマッチングする「スキマバイトサービス」を全国展開している。サービスを導入した事業数は15万9000社、働き手(ワーカー数)は1000万人。マッチングの職種は農業、物流(軽作業)、飲食、小売業、ホテル、介護、食料品製造など幅広い。連携協定を結んだ自治体は今回の三川町を含めて全国35自治体目となった。
2025年(令和7年) 5月10日(土)付紙面より
ツイート
農作物の順調な生育を願う出羽三山神社(阿部良一宮司)の祈年祭「御田植神事・田舞(たまい)奉仕」が8日、鶴岡市の羽黒山山頂の三神合祭殿で行われた。今年も羽黒高校の女子生徒が巫女(みこ)の早乙女役となり、神社神職らと共に五穀豊穣(ほうじょう)を願う田舞を披露した。
奉仕したのは、いずれも同校3年の金子芽愛(めいな)さん(17)、西村遥菜(はるな)さん(17)、井上春乃さん(18)、井上優花さん(17)、小田悠愛(ゆうな)さん(17)の5人。先月中旬から5回の練習を重ね、本殿での本番に臨んだ。
阿部宮司の祝詞、田を起こして種をまく一連の農作業を模した御田植神事に続いて、同神社の巫女・齋藤奈津記さん、男性神職4人の計10人で、息を合わせて独特の所作を含む伝統の田舞を披露した。
女子生徒の奉仕は昨年初めて行われ、井上春乃さんは昨年に続いての参加で、他の4人は同校チアリーディング部のメンバー。同部キャプテンの井上優花さんは「貴重な体験ができて楽しかった。地元にある高校の生徒として、こうした形で貢献できて良かった。後輩たちにもこの経験を伝えて、貢献してもらいたい」と話していた。
御田植神事などの祈年祭は、7月の「花祭り」、11月の「新嘗(にいなめ)祭」と並ぶ同神社の農耕神事で、本殿には信者ら約100人が参列し、玉串をささげ、豊作を祈願した。
2025年(令和7年) 5月10日(土)付紙面より
ツイート
庄内三大祭りのトップを飾る「酒田まつり」(19―21日)を前に9日、恒例の「獅子(しし)洗い」が酒田市内の大獅子・仔獅子設置箇所で行われた。参加者が1年分の汚れを落とした上できれいに磨き上げ、本祭り当日に備えた。
1976年10月29日に発生した酒田大火からの復興を祝い79年、酒田のさらなる発展や災害防止の願いを込め民間信仰の対象だった「大獅子」を黒、赤2体ずつ計4体制作、同年5月の酒田まつりの山車行列で初めて街中を練り歩いた。普段は市内各所に飾られ毎年、酒田まつりの際に山車行列巡行に参加している。
この日は大獅子と仔獅子計8体を清掃。中町モールにある「山王」「日和」の作業には、市職員、中町中和会商店街振興組合員計6人が参加。脚立に上った職員と組合員は獅子全体に水を掛けた後、スポンジやタオルで隅々まできれいに拭き上げた。同組合の脇屋直紀理事長(65)は「厳しい状況が続くが、祭りを機に中心商店街としての意気込みを見せたい」と話した。
一方、子どもたちの無病息災を願って大獅子の口の中に入れ、かんでもらう名物「獅子パックン」は、本祭りの20日午後1時から旧マルホンビル付近で実施する予定。
2025年(令和7年) 5月10日(土)付紙面より
ツイート
鶴岡市神明町に鎮座する春日神社(齋藤元宮司)の例祭が8日、同神社で行われた。子どもたちが神の使いとされる「白い鹿」の像を載せた山車を引いて市内の中心部を練り歩いた。
同神社の例祭は旧鶴岡地区の御社の中で一番早い春祭りとして親しまれている。メインの「御神幸(くねり)」には朝一小と朝二小の子どもたちを中心に氏子ら関係者合わせて約80人が参加。午後2時に春日神社をスタートした。
御神幸は先達の神官、氏子の宮侍、鹿引き、謡い方、おほ様、獅子頭、笛太鼓、子ども神輿(みこし)で構成。第二コミセン―早坂食品―国松屋―扇寿司―小いけ―武田神佛具店―結城包装―マルゴの近くを通る約2キロのコースを歩いた。
例祭関係者は「昨年は雨で御神幸が中止となっただけに今年は天気に恵まれて良かった。子どもたちの元気な掛け声で少しでも地域に活力を与えられれば」と笑顔を見せた。
2025年(令和7年) 5月10日(土)付紙面より
ツイート
大型連休が終わった。酒田市では連休中に「二十歳を祝う成人の集い」が開かれ、首都圏から帰省した人もいて、いっときだが街は華やいだ。一方、総務省の発表で4月1日時点の外国人を含む15歳未満の子どもの数が、昨年より35万人少ない1366万人だった。44年続けての減少で、比較可能な1950年以降で初めて1400万人を割り込んだ。
厚生労働省の人口動態統計で、2024年に県内で生まれた子ども(出生数)は4999人で初めて5000人を割った。県人口も今月1日時点で100万人を割っていることが確実視されている。将来を担う子どもがどんどん減ることに、ブレーキをかける手だてはないのだろうか。
◇ ◇
県の2000年の出生数は1万828人。それから24年で出生数が半減した。人口1000人当たりの出生数も全国平均を下回っている。庄内の今年4月1日時点の人口は2市3町で24万3947人。生まれる子どもより亡くなる人が約6倍。転出者も転入者より1・8倍多い。世帯数減も県全体の251世帯のうち、庄内は107世帯を占める。
20年の年齢別人口のグラフは、右肩上がりで高齢人口が増えていて70~75歳が1万8966人。1歳児は5738人で、少子高齢化の現実をはっきり裏付けている。少子化の背景には婚姻数の減少が挙げられる。政府も児童手当の拡充、育児休業取得を支援するなどの子育て対策を講じているが、その恩恵が非正規雇用者や自営業まで及ぶかとなると疑問符が付く。
人口減少の中で、酒田光陵高生が「さがだ 運命(うんめぇ)の出会い」と銘打って、地元企業とのコラボ商品・さつまいも塩どらやきを作ったり、遊佐高生が「枝豆ポタージュ」を工夫して販売するなど、庄内の良さ探しをしている。高校生や大学生が地元農産物の良さを見直して活用、観光ガイドブックなどを作って庄内を盛り立てようとしているのは頼もしい。若者の意気込みが、人口減少のブレーキ役になってくれることを願いたい。
◇ ◇
県内の高校生の県内企業への就職率は、23年3月卒業で98・9%と高い。地元志向の高まりであろうか。一方、県外への転出を19~23歳層が多くを占めるのは、大学進学の表れとみられている。県の統計では、この年齢層の県内の平均給与は全国平均より約2万2000円下回る。
少子化は、地方の活力を将来に持続させることを厳しくする。どうしたら地方から子どもが減ることを止めることができるだろうか。政府は子育て支援策などを講じているものの、まず取り組むべきは非正規雇用をなくする構造改革に取り組むべきではないだろうか。多様な働き方に重きを置いてばかりでは、地域間格差を生じさせることにもなる。