2022年(令和4年) 1月30日(日)付紙面より
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少子高齢化が進む中で過疎地域をどう支え合うか―。鶴岡市温海地域の山あいの集落で組織する「福栄地域協議会福の里」(大滝徹会長)は、一人暮らしの高齢者や障がい者世帯を手助けする除雪ボランティアを募集している。現在、応募があったのは20人の目標に対して男性6人。地域を支える年代が減る一方、高齢者が増加する深刻な課題の解消に向けて、他地域の応援を求める取り組みを始めた。
「福の里」は木野俣、温海川、越沢、菅野代、関川の5集落で構成する。昨年3月末の住民基本台帳によると、世帯数は243世帯で全体の人口は690人。65歳以上は336人、15―64歳は304人となっている。
冬期間の最大の“仕事”が除雪。山あいに位置するだけに積雪深は例年1・50メートルを超える。昨冬は最大積雪深で2・24メートルを記録した。
生活に直面する課題をクリアしようと、福の里除雪部会は事務局の温海庁舎総務企画課を通じて国土交通省の「雪処理の担い手の確保・育成のための克雪体制支援調査事業」に応募。採択を受けて予算の30万円はスノーダンプやスコップの購入費などに充てる。
作業は来月の土日に行う予定。玄関から道路までの通路と住宅周辺、屋根から下ろした雪の片付けをしてもらう。ボランティアという名目だが、有償で1時間1000円を支払う。6人の年代は10代から60代まで幅広く、鶴岡市内や海岸沿いで雪が少ない浜温海地域からの応募があった。
事務局担当者は「採択されたが、募集して人が集まるのか、実際の作業はどうなのか、今後の過疎対策につなげることができるのか。初めての取り組みで不透明なところはあるが、まず実績を積みたい」と、事業のモデル地域として国交省に報告書を提出する。
除雪ボランティアは昨年12月に募集を始め、鶴岡市内の高校から「部活動として手伝いたい」との電話があったが、拡大する新型コロナウイルスの影響で見送りになったという。
福の里の大滝会長は「今はまだ差し迫った問題ではないが、将来的なことを考えると大きな不安がある。除雪だけでなく、過疎地域が抱えるさまざまな課題の解消につながることを期待したい」と話している。