2024年(令和6年) 10月4日(金)付紙面より
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本格的なキノコ狩りシーズンを迎える中、有毒キノコによる食中毒の防止を図る「きのこ鑑別・相談会」が29日、鶴岡市のくしびき温泉ゆ~Townで開かれた。食用と有毒、毒はないが食用に向かない不食などのキノコが展示されたほか、専門家による有毒・無毒の鑑別が行われた。
県はキノコ狩りが最盛期となる10月をキノコによる食中毒の予防月間とし、広く注意を呼び掛けている。県食品安全衛生課によると、過去10年間の県内のキノコ食中毒は29件あり、患者数は74人。このうち8割近い57人がツキヨタケによる食中毒で、食用のムキタケやヒラタケ、シイタケと間違って食べたものとみられる。
鑑別・相談会は、正しい知識を習得し毒キノコの採取や誤食の防止につなげようと、鶴岡地区食品衛生協会指導員部会東支部(粕谷典史支部長)が毎年、専門家の「山形きのこ会」の協力で実施している。会場には鶴岡市の朝日、櫛引、羽黒地域を中心に収穫した約100種類のキノコを分類して名前を付けて展示。来場者は食用と有毒のキノコの違いを目で確認したり、手に取って匂いを嗅いだりしていた。
鶴岡市や酒田市、遊佐町の住民8人が持ち込んだキノコの鑑別も行われ、山形きのこ会の鑑別士3人が収穫場所の周辺環境などを聞き取り、図鑑と見比べながら毒キノコかどうか鑑別していた。同会の鑑別士の佐藤育子さん(73)は「例年と比べ秋のキノコの生育が遅れている。特に生育途中の小さなキノコは特徴がはっきりせず、食用と有毒が混生している場合は見分けるのが困難。我慢して少し大きくなるまで待ってから採取するよう心掛けてほしい」とアドバイスしていた。