2025年(令和7年) 1月5日(日)付紙面より
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「遊佐の小正月行事」の一つとして国重要無形民俗文化財に指定され、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産にも登録されている奇習「アマハゲ」が3日、遊佐町吹浦地区の女鹿(めが)集落で繰り広げられた。鬼やおきななどの面をかぶり、わらみのを幾重にも巻いたアマハゲが「ひょー」などと奇声を発しながら家々に上がり込むと、子どもたちは恐ろしさのあまり泣きながら「いい子になります」と誓った。
アマハゲは、同地区の秋田県境に近い滝ノ浦、女鹿、鳥崎の3集落に伝わる行事で、それぞれ元日、3日、6日に行われている。子どもたちを抱き上げ引きずり回して勉学や手伝いを促す一方、お年寄りの肩をもみ長寿を祈る。山から降りてくる神の化身とされ住民は酒などを提供しねぎらう。
今年、女鹿では20代から40代の男衆7人がアマハゲに扮(ふん)し、集落の鎮守・八幡神社で祈祷を行った後、午後4時ごろに太鼓の先導で出発。中心通りを南下しながら約20軒を回った。大学に通う神奈川県内から帰省し初めてアマハゲ役を務めた池田龍生(りゅうき)さん(21)は「小さい頃は怖いばかりだった。今年は驚かす側。楽しみ」とほほ笑んだ。
アマハゲの洗礼を受けると健康に育つといわれ、龍生さんの祖父・和博さん(73)宅では知人の子どもたち10人近くが待ち構えた。アマハゲが勢いよく上がり込むと一瞬にしてパニック状態に。大きな悲鳴を上げ、家族らにしがみついて必死の抵抗を試みた。遊佐保育園年中の高橋葉大(ようた)君(5)は「いい子にする。約束する」と、しゃくり上げながら誓っていた。