2022年(令和4年) 8月10日(水)付紙面より
ツイート
鶴岡市湯野浜地区の海岸道路沿いに、観光客がレストランとして食事を楽しむことができ、周辺の旅館で働く人々もキッチンとして利用できる「ゆのはま100年キッチン」がお目見えした。同地区の魅力づくりと活性化に取り組んでいる、まちづくり会社「湯野浜100年」(五十嵐浩社長)が進めるプロジェクトの一環で、今月26日(金)にオープンする。
同社は湯野浜地区の持続的発展可能なコミュニティー形成や来訪者の増加などを目指して湯野浜温泉旅館協同組合、湯野浜温泉源泉、湯野浜温泉観光協会が出資し、2018年に設立。「海」「白浜」「温泉」といった普遍的な価値を持った100年先も変わらない特有の資源を基に、新たな魅力づくりに取り組む「湯野浜100年計画」を展開している。
コロナ禍による社会変化を踏まえ、20年からは「暮らしと観光」「日常と観光」といった視点で、東北芸術工科大(中山ダイスケ学長)と共同で、同地区のエリアリノベーション事業に着手した。
ゆのはま100年キッチンは、このプロジェクトの一つ。旅館「游水亭いさごや」の南側そばの遊休地に、木造平屋建て床面積約130平方メートルの建物を整備。客席としてテーブル・椅子席が約20席を備え、海に面した縦約2・5メートル、横約8メートルの大きな窓からは海に沈む夕日などを眺められる。地元の食材を使った料理を提供するほか、温泉街の旅館の従業員食堂としても使用される。
8日には、同キッチンの記者発表会が現地で開かれた。五十嵐社長は「現状維持だけでなく、海・白浜・温泉に加え、湯野浜の新たな魅力を伝えていきたい」、キッチンを手掛けた東北芸術工科大の馬場正尊教授は「湯野浜にいる人全員が集う場所になってほしい。観光客と地元民の交流の場になるのもいい」と話した。
同キッチンの営業時間は午前11時半から午後11時まで。ランチ、ディナー、バーなど、時間帯によって提供メニューが変わる。問い合わせは20日以降に同キッチン=電0235(35)0280=へ。
2022年(令和4年) 8月10日(水)付紙面より
ツイート
体の不自由な人と健常者が共に海を楽しむイベント「バリアフリービーチ」が5日、鶴岡市のマリンパークねずがせきで行われ、県内の家族連れが海水浴やカヤック体験を通じて海の魅力を体感した。
日本財団「海と日本プロジェクト」の一環で、市民団体「ドリームやまがた里山プロジェクト」(小谷卓代表理事)が企画。車椅子を利用する人も浜辺まで近づけるよう、同海水浴場にスロープを整備した2020年から毎年開催。
好天に恵まれたこの日は、視覚障害者の雇用支援を行っている山辺町のNPO法人「輝色(きいろ)」(多田裕也理事長)の従業員とその家族、庄内町の北月山アドベンチャーくらぶ(土門敦代表)の児童合わせて約30人が参加した。視覚障害のある人は、補助スタッフから「あと少しで海に入ります」「冷たいですよ」などと助言をもらい、潮風の香りを感じながら遊泳やカヤック、ビッグサップなどを楽しんだ。
徐々に視野が欠けていく先天性の病気を持つ森谷修さん(52)=山形市=は「子ども2人と妻と来た。海に入るのは20年ぶりで、子どもたちを連れてくるのは初めて。スタッフが見守ってくれる安心感があるので、こういうイベントはありがたい」、娘の結希さん(10)は「思ってたより海の水がしょっぱい。冷たくてすごく気持ちいい」と話した。