2009年(平成21年) 3月17日(火)付紙面より
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「鶴岡踊り祭2009」が15日、鶴岡市文化会館で開かれた。地元をはじめ県内各地から25団体、計約440人が出演して華やかで躍動感あふれる多彩な踊りを繰り広げた。
同市内のNPO法人や各種舞踊団体などで組織する実行委員会(風間眞一委員長)が主催した。2005年2月、市中央公民館の建設20周年事業の一環で初めて開催され、今年で5回目。鶴岡の盆踊りで踊られていたという「庄内ハエヤ節」をロック調にアレンジするなど、踊りをテーマにした新たな祭りの創出を目指している。
4部構成のステージは、念珠関辨天太鼓創成会の太鼓演奏で開幕。今回初めて設けられた「子どもはえや未来賞」には、櫛引西小と「こがねっこ 上々連」の2チームが出場し、民謡歌手の伊藤多喜雄さんがアレンジした「庄内はえや タキオバージョン」の曲に合わせて元気な踊りを披露。観衆から大きな拍手がわき起こった。
羽黒高のチアリーディングや遊佐高のソーラン踊り、フラダンス、スポーツ民踊、ジャズダンスなどジャンルを超えた各団体の踊りも次々と繰り広げられ、最後は「庄内はえや舞台まつり」と銘打ち、庄内ハエヤ節の歌や「流し踊り」「タキオバージョン」の踊りで盛大に締めくくった。
初めて設けられた子供部門で元気いっぱいに踊りを披露
2009年(平成21年) 3月17日(火)付紙面より
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元NHKアナウンサーで、テレビ番組「その時歴史が動いた」のキャスターなどとして知られる松平定知さん(64)の特別講演会が15日、酒田市の東北公益文科大公益ホールで開かれ、藤沢周平作品について「だらしない生き方の人には厳しく、一生懸命に生きている人には優しい」と、その魅力を語った。
庄内を中心にした県内企業・団体の出資による広域観光振興会社「北前船庄内」(社長・新田嘉一平田牧場会長)が開いた。経済産業省の広域・総合観光集客サービス支援事業による「やまがた出羽の国『庄内』地域活性化コンソーシアム」事業の一環で、JR東日本や全日空とタイアップし首都圏などから誘客を図るツアー企画の目玉イベントの一つ。ツアー客や地元住民ら700人余りが聴講した。
松平さんは「藤沢周平作品からみる日本人」と題して講演。朝のニュース番組を担当していた1989年に「全くの偶然」で藤沢作品と出会った。日々の番組終了後、仮眠室に持ち込んで読みふけるうち、「優しい目線に心が安らいだ。あまりに良い気分になって、逆に寝られなくなったこともあった」という。
「何とか全国の皆さんと思いを共有したい」との願いから、一切の擬音、効果音、音楽なしでラジオで作品を朗読することをNHKに提案。2003年5月から「蝉しぐれ」の朗読が始まった。05年からは「ラジオ深夜便」でレギュラー化され、現在も続いている。
松平さんは「藤沢作品は、どんな人にも優しいのではない。きちんとした考えを持ち、一生懸命に黙々と生きている人には優しく、応援する。逆に、不正なお金や陰謀を凝らして地位を得ようなどと、だらしない生き方の人には厳しい。本来、人間が持つ『温(ぬく)み』を引き出すのが彼の優しさ」と講演。
また、「普通に生きた人でも、一つや二つの傷は必ずある。傷と一緒に生きていく覚悟をした人が偉い」とする直木賞作家の宮部みゆきさんによる藤沢作品観を紹介し、「まさにその通り。読んでいて涙が出てきた。拍手を送りたくなった」と話した。最後に「蝉しぐれ」の最終章を約20分にわたって朗読。聴衆は、松平さんの語りに目を閉じて聞き入っていた。
講演に先立ち、新田社長が「ツアーでお出でいただいた皆さんと出会えて何より幸せ。庄内の旅が良い思い出になるよう祈っている」と歓迎の言葉。作家の石川好さんが「北前船構想」の趣旨を説明し、吉村美栄子知事、観光庁の水嶋智観光資源課長が祝辞を述べた。
松平定知さんが藤沢作品の魅力を語った