2020年(令和2年) 10月22日(木)付紙面より
ツイート
鶴岡市の鶴岡工業高校(百瀬克浩校長、全日制567人、定時制16人)の創立100周年記念式典が20日、同校体育館で行われた。在校生たちが節目の年を祝い、さらなる飛躍への決意を新たにした。同校卒業生でアーチェリー女子の東京オリンピック代表候補、中村美樹選手(28)=鶴岡市、ハードオフ=が記念講演し、「言葉の力を信じ頑張って」と激励した。
同校は、1895(明治28)年に開設された鶴岡町立鶴岡染織学校を前身に1920(大正9)年、県立鶴岡工業学校として創立。現在は、全日制が機械、電気電子、情報通信、建築、環境化学の5科、定時制(1948年創設)が工業技術科の1科体制となっている。創立時から「誠実勤労」「質実剛健」をモットーに、国内外工業界の第一線で活躍する人材を輩出し、卒業生は2万4000人余に上る。
本年度は本来、100周年記念事業実行委員会(実行委員長・佐藤弘城畔同窓会長)が各種記念行事を行う計画だったが、新型コロナの影響で祝賀会などは来年に延期し、今回の式典を中心に簡素化。在校生と教職員、同窓会、PTA関係者ら約700人が出席した。
百瀬校長は式辞で同校の歴史を振り返り、「誠実勤労と質実剛健の精神、先達たちが築いてきた鶴工への信頼、向上心をもって高みに果敢に挑戦する鶴工魂がある。歴史的瞬間にいる幸せと責任を自覚し、伝統ある鶴工生の誇りを胸に、2世紀目の新たな歴史を刻んで」と呼び掛けた。佐藤同窓会長、佐藤寛幸全日制PTA会長が祝辞を述べた。
終了後には、記念事業実行委の佐藤委員長が新調した校旗を百瀬校長に、応援団旗を上林優介生徒会長(17)=建築科3年=に贈呈。旧校旗は1950年ごろから、旧応援団旗は93年からそれぞれ使われ、新応援団旗は黒谷虎雄同窓会名誉会長の寄付金によるものであることが披露された。
中村さんは「今、高校生に伝えたいこと」と題して講演。鶴岡三中でアーチェリーを始め、鶴工から日体大を経て、国内外の大会で活躍、東京五輪最終選考会に出る5人に選ばれたが、同選考会は来年3月に延期されたことなどを紹介した。そして、「五輪が延期になり、一時は落ち込んだが、今は成長するチャンスと前向き。メダルを取れる選手になりたい」と抱負。生徒たちには「夢を大切にしてほしい。『自分はできる』『大丈夫』と口にした時、体が動く。言葉の力を信じ頑張って」と呼び掛けた。
引き続き中村さんの激励会が開かれ、上林生徒会長とアーチェリー部の白幡佑大部長(16)=情報通信科2年=が「アーチェリーに対するひた向きな姿に感動。選考会に向け、応援するので頑張って」とし、全員で大きな拍手を送った。中村さんが五輪に出場すれば、同校卒業生としては前回東京大会(1964年)の陸上男子走り高跳びに出場した宮崎欣也さん(56年度電子科卒)以来という。