2021年(令和3年) 7月6日(火)付紙面より
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「読書のまち鶴岡」をすすめる会(黒羽根洋司代表)の「第12回読書で元気なまちをつくろう・市民の集い」(荘内日報社など後援)が3日、鶴岡市中央公民館で開かれた。脳科学者で東北大教授・同大加齢医学研究所長の川島隆太さんがリモート講演で、読書が認知症の改善や子どもの脳の発達を促し、スマホは逆に脳の発達を止める悪影響があるなど実験結果を示し、読書を通じた健全な脳の発達・維持を訴えた。
この会は2011年3月、「読書のまち鶴岡」宣言をすすめる会として発足し、17年4月に現名称に改称した。市民の集いは11年から年1、2回開き、今回は約300人が参加した。
川島さんは「読書がもたらす脳への効果?健全な成長と認知症予防?」と題して講演。「思考や記憶などを司る脳の前頭前野は思春期から急速に発達し、20歳をピークに機能は低下する」とした。脳の機能を高める方法としては「読書が効果的で、創造力も刺激する。特に音読は効果的で、800字程度の文章を速く読むのが良い」とし、活字を使った脳トレで寝たきりの認知症患者が自力学習するようになった例を紹介した。
読書と子どもの関係については「毎日1時間以上読書する子どもは成績が良い。読み聞かせは、親子双方のストレスを減らして心を安定させ、子育てを楽にする」とした。
スマホについては「1日1時間以上使う人の成績は悪く、1時間未満の人との学力差は大きい。スマホを使うことで脳の発達が止まるため。何かに集中しようとしている時に妨害が入る『スイッチング』が問題とみられている」と警鐘を鳴らした。
質疑応答で高校生が「スマホで新聞を読むのは大丈夫か。(政府が)タブレット学習を推進するのはどうか」と尋ねたのに対し、川島さんは「読むことで脳が活性化するかという観点では紙もタブレットも同じだが、スマホはラインのメッセージなどの邪魔が入るので注意。タブレット学習は、先行の韓国や豪州では既に失敗している。みんな授業中にチャット機能などでいたずらしている。この国を滅ぼす第一歩」と答えた。