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荘内日報ニュース


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2024年(令和6年) 12月14日(土)付紙面より

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ふるさとパンフレット大賞 審査員賞 「つるおか食の原風景」食文化協作成

 鶴岡食文化創造都市推進協議会が作成したパンフレット「つるおか食の原風景」が、地域活性化センター(東京)主催の地域プロモーションアワード2024「第12回ふるさとパンフレット大賞」で、審査員賞の「パックン賞」を受賞した。入賞した全国7点の一つで、来年1月20日に都内で表彰式が行われる。

 同協議会のパンフレットは、今年3月に発行。カラーB5判23ページ。国内で初めて認定されたユネスコ食文化創造都市を紹介する内容で、豊かな食材を生み出す気候、風土と守り伝える文化や、在来作物、伝統料理、伝統菓子などを特集し、鶴岡の食にまつわる多様な情報を豊富な写真とともに載せた。

 同アワードは、地域の魅力を国内外に発信する広報PR活動を応援しようと、同センターが2013年度から実施。今回はパンフレット部門に全国から74点の応募があり、大賞、優秀賞各1点、審査員賞5点を決め、11日に結果を発表した。

 審査員を務めたお笑いコンビ・パックンマックンのパックンさんは「写真やレイアウト、文章も優れていて、爽やかさ、親しみやすさ、ぬくもりまで伝えてくれる絶品です」とコメント。同協議会事務局の市食文化創造都市推進課は「鶴岡ならではの食文化の歴史や素晴らしさ、当たり前ではない恵まれた環境を再認識できる一冊になればとの思いを込めて制作し、食文化のストーリーと魅力を知ってもらえるような構成にした。ユネスコ食文化創造都市認定10周年の節目に栄誉ある賞を頂き、大変うれしい」とのコメントを出した。

審査員賞を受賞したパンフレット「つるおか食の原風景」の一部
審査員賞を受賞したパンフレット「つるおか食の原風景」の一部


2024年(令和6年) 12月14日(土)付紙面より

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干支の繭玉細工作り50年余96歳高城さん「私の生きがい」 遊佐 5回目の「巳」置物やお守り

 繭玉細工に取り組んでいる遊佐町吉出の高城繁子さん(96)が来年の干支(えと)「巳(み)」にちなみヘビをかたどったお守りや置物作りを進めている。

 高城さんは旧温海町の出身で、若い頃は旧国鉄鼠ケ関駅に勤務。旧羽黒町出身の夫と結婚し開拓のため遊佐町吉出に移住した。旧遊佐町農協(現・JA庄内みどり)による養蚕産業の推進が始まり、「売り物にならない繭玉で何か作れないか」と同農協養蚕婦人部員たちと一緒にブローチやブーケなどの細工を始めたという。

 1972年の子(ね)年から干支の動物を模した細工も作るように。養蚕が盛んだった当時は町内に20軒ほどあったという蚕農家も、約半世紀たった現在は1人、繭玉細工を手掛けるのも高城さん1人になった。

 約3センチほどの繭玉を斜めに切って口を作り、和紙とビーズで赤い舌と目を取り付け模様をペイント。仕上げにしっぽを付け出来上がり。高城さんははさみや手芸用ボンド、彫刻刀などを器用に使い、1つ当たり15分ほどかけて丁寧に仕上げていた。

 ヘビを作るのはもう5回目と笑う高城さん。来年1月中旬までに400―500個作る予定という。高城さんは「繭の大きさに合わせて形や表情を作るのが大変だが、そこが面白い。繭玉細工は私の生きがい。毎年待っていてくれる人がいてありがたい」と話した。お守り用は同町野沢の竜沢神社のお札を付け、置物用はプラスチックのケースに入れる。お守りはJA庄内みどりを通して東京の米卸市場などに送られるほか、ケース入りとお守りは遊佐町の道の駅「ふらっと」で購入できる。

来年の干支「巳」をモチーフにした繭玉細工を作る高城さん
来年の干支「巳」をモチーフにした繭玉細工を作る高城さん


2024年(令和6年) 12月14日(土)付紙面より

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地域の伝統芸能を守ることとは

 以前も目にしたニュースだが、郷土芸能が学校行事として受け継がれている様子に、あらためて頼もしさを覚える。全国では無形民俗文化財などが、担い手不足で継承が休止状態のケースもある。庄内でも今年8月、鶴岡市温海地域の「戸沢花胡蝶歌舞伎」が、後継者不足などのため歴史を閉じた。人が減ることに、やりきれなさを覚える。

 そんな中、同市の東栄小学校伝統の「獅子踊り」の引き継ぎ発表会があった。6年生が下級生に祭りのシンボル「獅子頭」をバトンタッチし、学習活動として民俗芸能を受け継いでいく。地域の祭りを守り、郷土愛を育てることにもつながる。併せて子どもの情操面での成長にもプラスするであろう。

     ◇       ◇

 鶴岡市藤島地域は「獅子の郷」と呼ばれ、室町時代から各地区の神社で獅子踊りが伝承されている。東栄小学区では「添川獅子踊り」と「東堀越獅子踊り」が伝承されており、1993年、地区の伝統を受け継ごうと同小で獅子踊りを学習に取り入れた。以来、入学式で6年生が踊って新1年生を迎え、6月の体育祭、12月の引き継ぎ式で演じる。

 全国的に人口減少で無形民俗芸能の保存活動がピンチに陥っているという。戸沢花胡蝶歌舞伎が約300年の歴史の幕を閉じた背景にあるのも担い手不足。「歌舞伎にこだわっていては、地域そのものの存続にまで影響する」と、苦渋の決断だった。

 かつて、元自民党幹事長の加藤紘一さんは、「人口が減ることで地域の祭りを守ることが厳しくなってきている。東京などで働く人が、田舎の祭りの時期に数日間帰省できるような仕組みがあってもいいと思う」と語っていたことがあった。古里を離れて働いている人たちが、数日間帰省して祭事に参加する。最近よく語られる「関係人口」によって伝統を守ることに関わることを指したものだったと思われる。

     ◇       ◇

 「黒川能」や「黒森歌舞伎」などは、一年を通じてさまざまな儀式や神事、準備を整えることで初めて奉納舞、公演が成り立つ。地域で受け継がれている民俗芸能も、大なり小なり同様で、全ては人手がなければできない。鶴岡市温海地域の「ケヤキ姉妹」の風習は、文部省の「記録作成等の措置を講ずべき無形文化財」として記録に残されているが、10代前後の該当年齢の女子がいなければ、実際の行事はできない。

 生活の多様化から準備などに同じ日時に全員が集まれないこともある。本来は男児が担う祭事を女児が担ったりするケースもある。東栄小の伝統は30年を超え、地元を離れている人は多いだろう。文化は時とともに少しずつ形態を変えながら受け継がれる事は受け入れられるとしても、担い手がいないことで将来への継承を閉じなければならないとは残念だ。地方創生が功を奏していない一端と言えるのではないか。

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2024年(令和6年) 12月14日(土)付紙面より

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鶴岡出身プロ声楽家 東栄小と黄金小でアウトリーチ 鈴木さん(バリトン)佐々木さん(ソプラノ)楽しく交流

 小学生から音楽をより身近に感じてもらおうと、プロの声楽家による音楽アウトリーチが9日、鶴岡市の東栄小学校と黄金小学校で行われた。

 これは来年1月に荘銀タクト鶴岡(市文化会館)で行われる同館自主事業の「つるおか市民で歌うオペラ・ガラ・コンサート」の関連事業として行われたもので、本格的な声楽に触れる機会を提供するとともに、地元出身者である先輩アーティストの活躍を目の当たりにすることで音楽に親しんでもらおうと昨年度から実施している。昨年度に引き続き同市出身のバリトン歌手・鈴木集(つどい)さんとソプラノ歌手の佐々木麻子(まこ)さんが両校を訪れ、ピアニストの渡辺啓介さんの伴奏で「紅葉」や「冬の夜」などの日本の歌や、モーツァルトのオペラ「魔笛」から数曲を披露した。東栄小では全校児童63人、黄金小は4―5年生24人がプロの演奏に聴き入った。

 東栄小は鈴木さんの母校でもあり、小学校時代の思い出を語っていた。鈴木さんは気持ちを乗せた歌い方をするようにアドバイスしながら、最後に一緒に校歌を歌い交流していた。

 「―オペラ・ガラ・コンサート」は来月19日(日)午後2時から荘銀タクト鶴岡大ホールで行われる。佐々木さんのほかに、ソプラノ・尾形志織さん、テノール・宮里直樹さん、バリトン・黒田祐貴さん、フルートの鎌田邦裕さんが出演。指揮は工藤俊幸さん、管弦楽は山形交響楽団。オープニングは斎小ミュージックベル隊の演奏で、合唱は公募したタクトつるおか合唱団が務める。曲目は歌劇「愛の妙薬」「ラ・ボエーム」「カルメン」などから。

 チケットは一般S席が3000円、ペアS席が5000円、A席2000円、ペアA席3000円。学生(25歳以下)はS席が1500円、A席が1000円で、学生証の提示が必要。当日券は500円増し。問い合わせは荘銀タクト鶴岡=電0235(24)5188=へ。

音楽アウトリーチを行った鈴木さん(右)と佐々木さん=東栄小
音楽アウトリーチを行った鈴木さん(右)と佐々木さん=東栄小


2024年(令和6年) 12月14日(土)付紙面より

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データ分析“売れ筋”商品を陳列 産学官の4者協定 公益大生売り場改善に取り組む ホームセンターで「大掃除用品」の売り上げ増目指す

 酒田市など市内外の産学官4者による「実データを用いた実践的データサイエンス教育に関する協定」に基づき、同市の東北公益文科大学(神田直弥学長)の学生たちは今秋以降、ホームセンター・チャンピオン(同市四ツ興野、高橋芳秋社長)の酒田店でプロジェクト型応用演習「POSデータ分析で売場改善」に取り組んでいる。年末商戦に向け、学生たちがデータ分析で導き出した売れ筋商品を自ら陳列し販売を手掛けるもので、12日午後は同店で商品陳列などを考察した。

 協定は昨年8月、市と公益大、チャンピオン、ビッグデータプラットフォームを運営する「True Data」(トゥルー・データ、東京都港区、米倉裕之社長)が締結。購買データ(ID―POS)、ビッグデータなど用いて公益大生が学びを深めるなど産学官連携による実践的教育の機会を創出することで、デジタル人材の育成を図るのが狙い。

 昨年に引き続き実施している演習は、チャンピオン酒田店の購買データ、トゥルー・データの生活者ビッグデータを分析し、学生たちが年末商戦における「大掃除用品」の売り上げ増に向けた「売り場」を提案。実際に販売活動を繰り広げ、その効果を検証するもの。神田学長(交通心理学、人間工学)と松尾慎太郎准教授(監査論など)の指導で2年生を中心に計17人が3班に分かれて取り組んでいる。

 扱うものとして学生たちは台所や風呂・トイレの掃除用品に加え、気持ちをリフレッシュしてもらうために菓子類を選定。同店、全国のドラッグストアのデータを元に売れ筋商品を探り、この日は同店バックヤードで陳列方法やポップの位置などを確認した。

 学生の一人、今野美歩さん(20)=2年=は「データを実際に活用してみたいと思って参加した。この陳列棚が多くの人の目に届いてほしい」、松尾准教授は「学生たちは丁寧にデータを分析し、売れる商品を探ったようだ。データに基づき説得力のある提案ができるようになってもらえたら」と話した。

 学生たちは今後、販売促進に向けた商品紹介動画なども制作する。19日に再度訪問し実際に陳列、翌20日ごろから年末にかけて販売する予定で、来年2月には同店関係者らを招き報告会を開催する。

チャンピオン酒田店のバックヤードで商品の陳列について考察する公益大生たち=12日
チャンピオン酒田店のバックヤードで商品の陳列について考察する公益大生たち=12日



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