2024年(令和6年) 12月14日(土)付紙面より
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繭玉細工に取り組んでいる遊佐町吉出の高城繁子さん(96)が来年の干支(えと)「巳(み)」にちなみヘビをかたどったお守りや置物作りを進めている。
高城さんは旧温海町の出身で、若い頃は旧国鉄鼠ケ関駅に勤務。旧羽黒町出身の夫と結婚し開拓のため遊佐町吉出に移住した。旧遊佐町農協(現・JA庄内みどり)による養蚕産業の推進が始まり、「売り物にならない繭玉で何か作れないか」と同農協養蚕婦人部員たちと一緒にブローチやブーケなどの細工を始めたという。
1972年の子(ね)年から干支の動物を模した細工も作るように。養蚕が盛んだった当時は町内に20軒ほどあったという蚕農家も、約半世紀たった現在は1人、繭玉細工を手掛けるのも高城さん1人になった。
約3センチほどの繭玉を斜めに切って口を作り、和紙とビーズで赤い舌と目を取り付け模様をペイント。仕上げにしっぽを付け出来上がり。高城さんははさみや手芸用ボンド、彫刻刀などを器用に使い、1つ当たり15分ほどかけて丁寧に仕上げていた。
ヘビを作るのはもう5回目と笑う高城さん。来年1月中旬までに400―500個作る予定という。高城さんは「繭の大きさに合わせて形や表情を作るのが大変だが、そこが面白い。繭玉細工は私の生きがい。毎年待っていてくれる人がいてありがたい」と話した。お守り用は同町野沢の竜沢神社のお札を付け、置物用はプラスチックのケースに入れる。お守りはJA庄内みどりを通して東京の米卸市場などに送られるほか、ケース入りとお守りは遊佐町の道の駅「ふらっと」で購入できる。