2024年(令和6年) 10月2日(水)付紙面より
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東北芸術工科大学(山形市上桜田三丁目)コミュニティデザイン学科の学生が鶴岡市湯田川の住民と魅力ある地域づくりを進めている。29日夜には由豆佐売(ゆずざめ)神社の参道沿いに「竹灯籠」約300本を設置。温かさが感じられるオレンジ色の明かりをともし秋の夜長を彩った。
コミュニティデザイン学科は地域住民と「マチの課題」や「困りごと」を考え解決することを目的とする。湯田川のほかに新庄市、大江町、宮城県気仙沼市の4地域を拠点に活動する。
このうち湯田川では2021年にスタートした。2年生が4月から3年生の夏まで約1年半かけて活動し住民と交流を深めている。地域学習を行った卒業生の中には鶴岡市役所に市職員として勤務し地域振興の仕事を手掛けている人もいる。
学生は湯田川ブランドの孟宗を末永く継承するため竹林を整備。間伐した竹に穴を開けて灯籠を作ったり、約30年もの間、手つかず状態で落ち葉が積もった「湯田川樹木園」の散策路などをきれいに整えた。
学生は由豆佐売神社と湯田川樹木園一帯を「湯田川フィールドミュージアム構想」として掲げ、湯田川の魅力アップに取り組む。
「竹灯籠祭り」では住民と参道沿いに大小さまざまな灯籠を備え午後6時に「点灯」。鳥居から神社本殿までを柔らかく照らし地域の子どもたちを楽しませた。コミュニティデザイン学科の飯川茜さん(3年)は「湯田川の人たちから快く迎えてもらい、とても楽しい活動をすることができた。この1年半、とても貴重な経験を積んだし社会人になっても今回の体験を生かしたい」と笑顔を見せた。
この日の午前中は地区コミセンで活動成果の報告会が開かれ、湯田川の住民と学生合わせて約30人が参加。3年生が活動報告し「東北芸工大と湯田川はこれからも心が通う仲間。ずっと仲良く付き合いたい」と絆を結んだ。
湯田川地区の住民は「芸工大の学生さんからは地域のために本気になって考え行動してもらい、その成果が形として表れている。こちらこそ感謝したい」と話した。
2024年(令和6年) 10月2日(水)付紙面より
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鶴岡市立藤沢周平記念館の第22回企画展「『龍を見た男』の世界」が、同館で始まった。「龍を見た男」は鶴岡市出身の作家・藤沢周平さん(1927―97年)が古里鶴岡の古刹善寳寺を舞台の一つとして書いた物語。善寳寺にまつわる龍神伝説や藤沢さんの取材ノート、小説に登場する江戸期の漁業の道具など、貴重な資料の数々が来館者を楽しませている。
「龍を見た男」は1975(昭和50)年、山形新聞で11回にわたり連載された。翌76年に善寳寺が辰(たつ)年御縁年を迎えることに合わせて書かれた作品で、庄内浜の強情で無信心な漁師・源四郎が主人公。漁でおいを死なせた罪悪感と善寳寺参り、自身の遭難と海で龍神を目撃した様子などが書かれており、心地よい読後感の物語だ。
企画展では連載時の初出紙をパネル化して展示。当時、洋画家で長く白甕社委員長を務めた故今井繁三郎さんが挿絵を担当しており、今井さんの略歴なども並んだ。パネルの下方には油戸や浜中など庄内浜の図絵を設置し、作品の情景をイメージしやすいような工夫が施されている。
また、藤沢さんが愛用していた創作ノートも展示。鶴岡へ帰省した際、善寳寺で聞いた話などを記したページをパネル化しており、藤沢さんの綿密な取材が感じられる。
このほか善寳寺の始まりとなった龍華寺と開祖の妙達上人など善寳寺にまつわる縁起や、善寳寺が所蔵する「昇龍ノ図」(一部)、藤沢さんにとって生前最後の家族旅行となった鶴岡の名所を巡る写真、庄内浜でかつて使われていた「ふりかご」(行商のアバが担いだかご)やさきおり(漁師が冬の沖仕事で来た着物)なども展示された。
展示は来年3月25日(火)まで。期間中、展示品の一部を入れ替える。関連イベントとして展示解説会を10月5日(土)、11月3日(日)、12月7日(土)の3回開催する。時間は各回とも午前10時半と午後2時から。また、小説に登場する鶴岡市内の各所を散策する「文学散歩」が10月27日(日)に行われる。来年1月18日(土)午後1時半からは朗読会が予定されている。問い合わせは藤沢周平記念館=電0235(29)1880=へ。
2024年(令和6年) 10月2日(水)付紙面より
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SNSなどを通して未成年が被害者となるネットトラブルを防止しようと県少年警察大学生ボランティアと酒田第一中学校の有志が28日、酒田警察署で被害防止を呼び掛けるタブレット用の壁紙作りに協力して取り組んだ。
同署などによると、2023年に全国で検挙された特殊詐欺の受け子のうち、5人に1人が20歳未満の少年だった。また、ゲートウェイドラッグといわれる大麻事案では少年1222人が検挙されており、SNSなどで誤った情報が発信されるなど増加傾向という。一方、SNSなどに起因する事案で被害を受けた子ども(18歳未満)は1665人で、このうち小学生は139人。小学生の被害は10年前に比べ5倍に増加した。同署管内でもSNSでの誹謗(ひぼう)中傷などの相談件数は増加しているという。
同署では児童・生徒が被害に遭わないように、同署管内の小中学生全員が利用している学習用タブレットに着目。被害防止を呼び掛ける壁紙を作成することにし、若い世代の視点を取り入れるため、大学生ボランティアと酒田一中の生徒有志と共に取り組むことにした。タブレット壁紙の作成は県警では初の取り組みという。
この日は同署管内で活動する大学生ボランティア17人のうち趣旨に賛同した公益大2―4年生7人と酒田一中1―2年生3人が参加。参加者は最初に全国での少年非行の現状やSNSに関する被害状況などの説明を受けた後、3班に分かれて壁紙のデザイン案を作成。参加者は「小学1年生でも分かるような感じで」「悪いことは悪いとはっきり伝えた方がいい」「あまり長くなく短く簡潔に」など意見を出し合いながら、イラストや文言の組み合わせを考えたり、白紙に描いたデザイン画を写真に撮るなど取り組んだ。約40分の作業で「書き込む前に考えよう」「SNSでもルールを守ろう」「オンラインゲーム 始める前に時間を決めよう」など計31案を完成させた。
参加した大学生ボランティアの佐藤嘉彦さん(公益大4年)は「これまでは大学生や大人と活動してきたが、中学生ならではの発想があって楽しかった。今の小中学生はタブレットを持っているのが当たり前になっているので自分たちも勉強になった」、本宮想愛さん(酒田一中2年)と後藤亜依子さん(同1年)は「あまり大学生と交流したことはなかったので楽しかった。自信を持って自分の意見を言えたのでいい作品ができた」などとそれぞれ話していた。
作成した壁紙案はデータ加工した後、教育委員会を通して年内中に同署管内の小中学生に配布したい考え。
2024年(令和6年) 10月2日(水)付紙面より
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横綱柏戸記念学童相撲大会が28日、鶴岡市横綱柏戸記念館で行われた。小学生力士たちが土俵の上で力のこもった取組を披露し、応援の保護者や相撲ファンを沸かせた。
幕内優勝5回、通算599勝の大横綱・柏戸(本名・富樫剛、1938―96年)の功績をたたえるとともに、相撲を通して心身たくましい子どもを育てようと横綱柏戸記念館活性化推進委員会(安野良明会長)が2022年に初めて開催した。
今大会には鶴岡市と三川町の小学1年生から6年生まで合わせて22人が出場。リーグ戦と3番勝負(6年生の部)で日頃の練習成果を競った。会場には保護者や相撲ファンが足を運び、子どもたちの好勝負に大きな声援と拍手を送っていた。
表彰式では各部の上位力士に表彰状とメダルが贈られた。
結果は次の通り。
▽低学年の部=1安野真矢(櫛引西2年)2蛸井晴翔(大山1年)3安野智希(櫛引西2年)▽4年生以下の部=1鈴木来夢(広瀬3年)2鈴木路唯(東郷3年)3阿部悠李(朝暘四4年)▽5年生の部=1阿部十蔵(広瀬)2蛸井海晴(大山)3高橋杷瑠(朝暘四)▽6年生の部=1今川想羅(朝暘五)2五十嵐翔太(あつみ)