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「チマ・サンチュ」肉・魚引き立てる名脇役

「ようやく収穫できるようになったそうです」。県庄内総合支庁農業技術普及課から「朗報」が届いた。昨年11月以来「近々出ると思います」と待ち続けた野菜。焼き肉に欠かせないチマ・サンチュを紹介する。

「量があまりないので新聞に出るのはちょっと…と思ったんですが」。鶴岡市藤島地域の四季の里「楽々(らら)」などでチマ・サンチュを販売している武田三喜子さん=砂塚=が申し訳なさそうに話した。

焼き肉屋のメニューにあるので韓国の野菜と思っていたが、奈良時代から日本で食べられていたレタスの仲間なのだそうだ。和名はチシャ。「知佐(ちさ)」から転じたらしい。昭和30年代に姿を消したが、最近になって復活した。

昔は漬物や煮物にも使われたというが、現代はやはり、料理を包んでということに尽きるようだ。武田さんからも「普段は焼き肉やコロッケなどフライ物、焼き魚をくるんで食べています」という答えが返ってきた。「サラダにしてもいいです。うちは今、3人の子どもが親元を離れてしまい、家族の年代が高くなったので生っぽいサラダは作りませんけど」。

肉厚で苦みがない武田さんのチマ・サンチュ

子どもたちがいたころ、武田さんの手作り弁当にはチマ・サンチュが欠かせなかった。「『本物』ですから、アルミホイルの仕切りを買ってくるよりいいと思います。子どもたちもチシャが好きだったので喜んでいました。彩りもいい。エコですしね」とにっこり。

武田さんはスプレーギクの裏作として自宅近くのハウスでチマ・サンチュを栽培している。消毒もしない完全無農薬栽培だから食べる側も安心だ。

ハウスに連れて行ってもらった。黄緑色の葉が想像より大きく、元気がよい感じだ。「手で横にずらすと簡単に取れます。パリパリしていますよ。かいてやるとまた葉が出てくる。そこがおもしろい。長く収穫できるのも魅力です」と話す。

お許しを得てチマ・サンチュを手で取ってみた。なるほど簡単にちぎれる。思ったより肉厚だ。鮮度がいいため、スーパーで売っている県外産とは葉の張りもつやも違う。無農薬だから安心して口に入れてみた。驚いたことに苦みがない。そしてシャキシャキしている。単品でもおいしいが、肉をくるんで食べてみたいという衝動を抑えきれなくなった。

「チマ・サンチュは料理の主役ではありませんが、いい脇役だと思います。相手を引き立てますから」と武田さん。「助演女優賞ですねえ」と水を向けると「そうそう」とまんざらでもなさそうな笑みが浮かんだ。

帰宅後、たれに漬けた豚肉を焼いて、チマ・サンチュで包んで試食した。苦みがないからか、子どもたちも喜んで食べていた。揚げたてのコロッケもチマ・サンチュでくるむ。これもおいしい。普段はご飯党だが、パンにはさんだらおいしいだろうなと思った。

武田さんは豚カツと塩サバもすすめてくれた。「脂が乗っている塩サバをくるむとおいしい。値段が安いのもいいと思います」と笑った。

カロテン、ビタミン、鉄分などのミネラルを含むチマ・サンチュは栄養面でも優れもの。使い勝手もよさそうだ。武田さんが産直に出している手作りコンニャク、柚みそ、シフォンケーキもいただいたが、いずれもおいしかった。料理上手な母親を持った子供は幸せだとあらためて感じた。

今回はレシピなし。皆さんもいろんな素材との組み合わせを楽しんでみてください。武田さんのチマ・サンチュは10枚前後入って100円。鶴岡市藤浪二丁目の四季の里「楽々」=電0235(78)2520=のほか、長沼のぽっぽの湯農産物直売所、藤島のエーブル21でも販売している。

2009年1月31日付紙面掲載

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