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「春キャベツ」栄養豊富な旬の味

「歯触りがよくて甘みもある。それが春キャベツの特徴です。生で食べるのが一番。冬キャベツは煮物やロールキャベツなど火を通す方が適しています」。酒田市中町一丁目の産直施設「ヨッテーネ」に春キャベツを出荷している祢津(ねつ)恵さん=藤塚=が「春」と「冬」それぞれのキャベツの持ち味を教えてくれた。

春キャベツは新キャベツの名でスーパーや八百屋の店頭に並ぶことも多い。春キャベツ100gの中にはレモン半個分に相当するビタミンCが含まれ、カルシウムやカリウムなどのミネラルも豊富で、新陳代謝を高める役割を果たす。健康食という面からも優れた食材と言える。

祢津家ではキャベツの食感と素材の持つうまみを大切にするため、浅漬けには余分な調味料を使わない。「適当な大きさにざくざくと切ったらナイロン袋に入れ、塩と一緒にさっともむだけ。夜に漬ければ翌朝には食べごろになっています」。

キャベツ畑を訪れた恵さん(左)と寛紀さん

祢津家の野菜は、「みどりの里山居館」、Aコープみどり店内に定期的に開設される「んめちゃ市場」、酒田の朝市、スーパーの直売コーナーなどにも並ぶ。生産者名は恵さんと長男の寛紀さんで登録している。

「このへんは昔から野菜作りが盛んだった」と話すのは寛紀さん。恵さんが「藤塚地区の農家は野菜を市街地の檀家に売り歩いていた。主人もリヤカーを押した経験があるそうです」と振り返った。

現在、祢津家で栽培している野菜は自家用も含めて4~50種類。サヤエンドウやキュウリ、トマトなど季節に応じて旬の味を消費者に届けている。その中で春本番を告げるのが「新キャベツ」だ。

「お客さんから『まだ出ないのか』と聞かれます。今年は大雪で収穫期が遅れてしまい、『もう1、2週間です』と答えたこともあります。お待たせしてしまいました」と寛紀さんが苦笑いする。

春キャベツは8月のお盆過ぎに種をまき、成長の程度により晩秋と春の2回に分けて定植する。時期をずらすことで収穫期の集中を避ける。根雪の下で栄養分を蓄えたキャベツは5月中旬から順次収穫され、7月まで続く。

藤塚集落東側にある祢津家のキャベツ畑に連れていってもらった。濃い緑色のキャベツの外葉に青虫がいた。「安全の証しですね」と聞いてみたら、恵さんから「低農薬で頑張ってますが、今でも10人に2人ぐらいは虫が付いたものをいやがるようです」という答えが返ってきた。

新鮮なキャベツの見分け方について恵さんは「葉に張りがあり、根元の切り口がみずみずしいものを選んでください。黒っぽくなっているのは時間がたったものです」と解説し、「外の葉がしたっとなっているかどうかで分かりますよ」と寛紀さんが付け加えた。

恵さんのおすすめレシピはキャベツのサラダ。「オーソドックスに食べてください」とにっこり。自宅でサラダと、キュウリ、ラディッシュが入った浅漬けをいただいた。口の中で「しゃきしゃき感」が広がる。素材の新鮮さがストレートに伝わってきた。

市街地北部の小学校の地産地消給食に恵さんたちの野菜が使われている。「交流会で児童と一緒に給食を食べると、みんな残さずおいしいと言ってくれる。何よりもうれしいことです」と話す時、恵さんの口元がほころんだ。ヨッテーネではサイズによって1個84円~126円前後で販売している。

祢津家の食卓は恵さんと義母が切り盛りしているが、週1回の夕食は昨年秋、寛紀さんに嫁いだ新妻が腕を振るう。野菜の里の「伝統食」は次の世代へと受け継がれる。

祢津さんのおすすめレシピ

キャベツのサラダ

○材料

キャベツ中1/2個、たまねぎ1/4個、キュウリ1本、ニンジン1/4本、パセリ少々、卵3個、ロースハム2~3枚、マヨネーズ適宜、塩とブラックペッパー少々

○作り方

  1. 卵はゆで卵にして乱切りする。
  2. ハムは半分に切ってから千切り。キャベツとニンジンも千切りにする。タマネギは薄くスライスにする。キュウリは縦に半分に切ってから斜め薄切りにする。パセリはみじん切り。
  3. 1と2をボウルに入れて最後にマヨネーズ、塩、こしょうで味を調える。

2006年6月10日付紙面掲載

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