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「サマーティアラ」夏秋イチゴの切り札

大粒のものも多いサマーティアラ。今年夏に本格デビューする新品種だ

今回取り上げる予定の野菜が、まだ収穫期を迎えていないことが分かり、あわてて素材を探しに鶴岡市の産直館のぞみ店に足を向けた。「これなんかどうでしょう? ちょうど生産者も来ましたよ」と薦められたのが、県が開発した夏秋イチゴの「サマーティアラ」。今年、本格デビューを迎える新品種が産直にあると聞いてびっくり。生産者の杉山啓子さん=面野山=にその場で取材をお願いしたところ、「イチゴは息子が担当しているので話しておきます」と快諾してくれた。

待ち合わせの日、鶴岡市下川の砂丘地にあるハウスを訪ねると、司さんが笑顔で迎えてくれた。「鶴岡で栽培しているのはうちだけでしょう。去年の10月に定植し、12月から酒田市の袖浦農協経由で市場に出荷しています。年明けからは産直での販売も始めました」。

サマーティアラは、夏から秋の端境期に狙いを絞って開発した本県のオリジナル品種。ケーキなど業務用の需要がありながら、この時期は国産の出荷量が少なく、米国を中心に外国産が席巻し、「眠れる100億円市場」とも表現されてきた。夏秋イチゴの切り札として県が2002年に開発に着手し、08年に試験栽培がスタート。今年、本格デビューを果たす。

「夏のイチゴがなぜ今の時期にあるのだろう?」。疑問を口にすると、「本来なら初夏まで『休眠』させるのですが、試しにハウスに暖房を入れてみました。大粒のものを生食用として産直に持っていきます」という答えが返ってきた。

ハウス内を見渡すと、高床のベンチからこうべを垂れる小粒のイチゴの中に、大粒で赤く色付いたものが目に付く。ケーキ用といいながらも粒がかなり大きいものもある。

赤く熟したサマーティアラを1粒食べた。ケーキに添えるイチゴだから、糖度はたいしたことはないだろうと思ったが、甘みも十分。同時に「イチゴらしい」酸味も備え、「もたっ」とした歯触りがない。

1年余り前、サマーティアラの開発を手掛けた県庄内総合支庁農業技術普及課産地研究室の研究員を取材したことがある。その際、「洋菓子などの業務用が中心になるだろうが、生で食べてもおいしい」と自信たっぷりに話していたのを思い出した。なるほど、これなら生食にも十分耐える、いや「ケーキの添え物」なんてもったいないと感じた。

司さんのサマーティアラは300グラム入って1パック400円。「珍しいと買う人やお見舞い用に求める人が多いそうです。でも、今週出したら『休眠』に入ります。次の出荷は5月の連休ごろかも」というから、新品種を今のうちに食べたいという人にとって、今週末が「ラストチャンス」になるかもしれない。

司さんのサマーティアラは鶴岡市のぞみ町の産直館のぞみ店=電0235(35)1477=と白山店=同(25)6665=の2店での限定販売になる。

2010年2月6日付紙面掲載

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