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「オカヒジキ」「ゆでて食べる」が一番

「しゃきしゃき、さくさくとした歯触りが最高です。わが家の食卓ではいつも家族が奏でるさくさくという音が聞こえます」。鶴岡市羽黒町松ケ岡地区の産直施設「朝どれ屋」にオカヒジキを出荷している庄司知子さん=細谷=が笑った。

オカヒジキは、海岸の砂地に自生する一年草。葉の形が海草のヒジキに似ていることから名が付いたとされる。日本では古くから食され、17世紀には栽培も始まったと記録に残っている。

庄司さんは会社勤めをしながら、自宅周辺の畑で野菜を栽培している。「本当の家庭菜園。家で食べる分を作っているだけ。でも、ない野菜はないぐらい植えています」と胸を張る。

食べきれない野菜はおすそ分けなどしていたが、残った物は捨てていた。「悲しい思いをしていましたが、昨年、朝どれ屋に置いてもらいました。1つの野菜を3~5袋ずつ、売れる分だけ持って行きます」。

無農薬栽培の庄司さんの畑で育てられたオカヒジキ

庄司さんの畑に連れて行ってもらった。オカヒジキをはじめ、枝豆、キャベツ、大根葉、ニンニク、ナガイモ、ナスなど数え切れないぐらいの種類の野菜が植えてあった。「野菜を買うことはほとんどない」というのもうなずける。

オカヒジキの栽培歴は10年余り。「何でも植えてみる」という探求心で始めた。「すごくおいしかったので、周囲に教えてあげたら皆が植えるようになりました」。朝どれ屋で販売を始めたころはオカジキの知名度が低いこともあり、「どうやって食べるの」とよく聞かれたが、今ではかなり浸透してきた。

オカヒジキは3度収穫できる効率のよい作物でもある。4月末に種をまき、1カ月後に収穫期を迎える。葉を摘み取った後は根元を切り落とし、追肥してやる。「追肥しないと硬くて食べられなくなってしまう」からだ。

庄司さんの畑ではオカヒジキに限らず、すべての作物が無農薬で栽培されている。「ほかの野菜は虫が付きますが、オカヒジキにはつきません。家庭菜園にはぴったりの作物だと思います」と話す。

庄司家では、ゆでたオカヒジキをそのまましょうゆで食べるほか、ドレッシングやしょうゆマヨネーズ、ごま和え、酢みそ和えなどにする。「手軽で簡単。ゆがくだけですから、若い人にもいいと思いますよ」。

「食べてみてください」と勧められ、ゆでたオカヒジキをマヨネーズでいただいた。鮮やかな緑色は見た目も新鮮そのもの。口に入れると、しゃきっとした歯ごたえ、心地よいかみごたえがあり、「たれ」の味を引き立てる不思議な食べ物という感じがする。くさみ、くせもない。「ゆで過すぎて『めたっ』とならないように注意してください。ゆでて食べる、これが一番です」。よって今回はおすすめレシピはなし。

オカヒジキは、ホウレン草並みのビタミンA、ホウレン草の倍以上のカルシウムを含み、栄養価の面でも優れた食べ物。朝どれ屋では150g入り1袋を73円で販売する。「ないものがない」究極の家庭菜園で育てられたオカヒジキは今月いっぱい楽しむことができる。

2006年7月15日付紙面掲載

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