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「ヤーコン」栄養価高い注目株

「今回、取り上げる素材はヤーコンだ」と言ったら、編集局の女性スタッフたちが喜んだ。これまであまり食べたことはなかったが、どうやら知る人ぞ知る? おいしい野菜らしい。

「まだまだ認知度は低い。生産者ももっとPRしないといけませんね」。鶴岡市の産直あぐりでヤーコンを販売している上野重和さん=下山添=が笑いながら出迎え、畑に案内してくれた。

「これがヤーコンです。掘ってみましょう」。スコップで掘り起こすと、土の下からサツマイモのような形の「実」がたくさん出てきた。表面は白っぽい。形はサツマイモで色はジャガイモ。外観からこんなイメージが浮かんだ。1株から10個前後取れるのだそうだ。

ヤーコンは、キク科の植物なのに「イモ」という不思議な野菜で、原産地は中南米アンデスの高地。低カロリーながら、動脈硬化によいとされるポリフェノール、整腸作用があるオリゴ糖を豊富に含む。上野さんいわく「栄養価が高く、生活習慣病の防止にもなる」という優れものなのだ。

畑から自宅に戻った後、上野さんがヤーコンをテーブルに乗せて包丁で皮をむいた。刃で軽くなでるようにするだけではがれていく。「簡単でしょう」と言われ、思わずうなずく。包丁を入れると、「サクリ」と音がした。断面は新鮮な大根のようにみずみずしい。「さわってみてください」と言われ、指を当ててみると、かすかにボンドのような粘りけがある。「これが栄養価かもしれませんね」と上野さんが笑う。

料理法については「天ぷら、サラダ、かき揚げなどにするとおいしい。でもきんぴらがピカイチです。レンコンのようなしゃきしゃきした歯触りを味わってください」という答えが返ってきた。

「自家製のが残っていました。食べてみますか。これが超うまいんですよ」と薦められたのがヤーコンのかす漬け。口に入れると歯触りがとてもよい。酒かすがよくしみている。歯触りのよいウドのかす漬けのような感じと言えば、分かってもらえるだろうか。「あぐりではかす漬けを出している人もいます」。帰りにあぐりでかす漬けを買い求めた。なるほど酒のつまみに最適の一品だった。

上野さんは昨年まで、レシピのコピーを添えてヤーコンを販売していた。「今年は場所が確保できなくて、レシピを置いていないのに売り切れるほどです。豊作で出来もよく、実割れするものもありません」。人気上昇中の注目株のようだ。

根元にぎっしり「イモ」がひしめいているヤーコン

上野さんのヤーコンは5月に苗を植え、追肥と草取りをするだけという完全無農薬栽培。「取り置きもきく」というから、農家にとっては手間のかからない野菜なのだろう。

いただいたヤーコンをさっそくきんぴらにしてみた。ごま油との相性も抜群で、サクサク感が味を引き立てる。翌朝は教えられた通り、酢水にさらしてサラダに、体の方もしゃきっとした。残りはキュウリと一緒に酒かすにまぶしてみた。即席だが、これだけでも十分においしかった。

「雪が降るまで」が収穫期というヤーコン。中サイズが2個ほど入った1kg詰めを300円前後で年明けまであぐりで販売している。

上野さんのおすすめレシピ

ヤーコンのきんぴら

○材料(4人分)

ヤーコン200g、ごま油小さじ1、しょうゆ小さじ1、砂糖大さじ1、酒 大さじ1、赤トウガラシ1本、いりごま少々

○作り方

  1. ヤーコンは皮をむき、5~6cmの拍子木切りにし、酢水にさらして水気を切る。
  2. 鍋にごま油を入れて、ヤーコンを砂糖、しょうゆ、酒を加えて水気がなくなるまでいため、盛りつけていりごまをかける。好みでニンジンを入れてもよい。

2006年12月2日付紙面掲載

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