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「庄屋大長なす」 軟らかくあく抜き不要

このコーナーで過去3回、ナスを取り上げてきた。フランスから渡ってきた白ナス、浅漬けに最適な沖田ナス、皮が軟らかい式部ナスと、いずれもレベルが高い素材だった。今回登場するのは、庄内ではあまり目にすることがない「庄屋大長なす」だ。

「あぐりで呼んだ講師の方は40cmぐらいでも大丈夫と言っていましたが、それでは入れる袋がありません」。鶴岡市の産直あぐりで庄屋大長なすを販売している齋藤みきさん=黒川=が苦笑いした。

庄屋大長なすは長くて細い。30cmをゆうに超えるというものも多く、ナスというより、太く成長したキュウリといった方がいいような形をしている。「『このナス、本当に長いこと』とお客さんが見ていくそうです」というのもうなずける。

齋藤さんたちは、あぐり経由で「式部ナス」を首都圏に出荷していた。「もっと長いものを」という要望に応え、今年から10人の生産者が庄屋大長なすの栽培に取り組んでいる。

気になる味について、「実も皮も軟らかい。年配の人は特にそう感じるのではないでしょうか。長くても口の中で種の存在を感じないから食べやすい」と教えてくれた。「火が通りやすいから、煮すぎないように注意してください。くたくたになってしまいます」とも付け加える。

生の庄屋大長なすに触ってみると確かに軟らかい。「油と相性がいいので、いため物や揚げ物はもちろん、ゆでてショウガやからしじょうゆで食べてもおいしい。くせがないナスです」。漬物より火を入れる料理が向くようだ。

「食べてみてください」とごちそうしてくれたのがおすすめレシピのナス豚のスタミナ煮。ナスと肉をみそでいためてすりおろしニンニクと大葉をからめる夏らしい料理だ。「モヤシが入ると彩りがいいけど、なかったので大葉で代用してみました」。

さっそく口に入れてみた。ほんのり付いている辛みは、齋藤家で栽培した新物のニンニクから出たもののようだ。ナスが軟らかい。油だけでなく、みそともよく合うし、冷めてもおいしい。ナス嫌いの子どもでもこれなら大丈夫。ご飯にもいいが、ビールのお供にしたらさぞやうまいだろうなと思ったら、のどがごくりと鳴った。 ゆでて冷やしたナスもからしじょうゆでいただいた。箸がさっと中に通る。冷たい食感が心地よい。「ナスをゆでると普通は水が真っ黒になるのに、このナスだと真っ青になります。あく抜きをしなくても大丈夫だと思いますよ」と話す。

いただいた庄屋大長なすを会社に持ち帰ったら、長さに目を丸くした編集局の女性スタッフが珍しそうに表面を押してみて「ふかふかしていて軟らかい」と驚きの声を上げた。

成長したものは長さ30cmを超えてしまう庄屋大長なす

帰宅後、ごま油をフライパンにたっぷり注ぎ、ショウガじょうゆでいためてみた。念のため、ボウルに水を入れ、切ったナスを入れておいたが、色はほとんど変わらなかった。なるほどあく抜きは必要ないかも。早めにあげたが、火がきちんと通っている。軟らかくて甘い。皮も気にならない。次回は素揚げにしてみたいと思った。

「曲がってしまうのとカラスに食べられるのが悩みの種」と話す齋藤さん。あぐりでは曲がりが大きい規格外品は5、6本入り150円前後で販売している。何もかも手探りの1年目だが、「来年も栽培したい」と生産者に思わせるおいしいナスであることは間違いない。

齋藤さんのおすすめレシピ

ナス豚のスタミナ煮

○材料

庄屋大長なす250g、豚肉150g、大葉5枚(モヤシでもよい)、みそ大さじ1、砂糖小さじ1、酒大さじ2、ニンニク1片

○作り方

  1. ナスを適当な大きさに切り、大葉は3cmぐらいの長さで千切りにする。ニンニクはすりおろす。
  2. 鍋に肉と酒を入れてさっといためてからナスを入れ、みそ、砂糖を入れてさらにいためる。
  3. 見た目、まだ生っぽいかなと思うぐらいで火を止め、すりおろしたニンニクと大葉を入れて混ぜ合わせる。

メモ さっと火を入れ、煮すぎないようにするのがコツ。

2007年7月28日付紙面掲載

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