普段、何げなく食べているカボチャにいろんな種類があると、取材前の下調べで初めて知った。名前もユニークなものが多い。どの品種を紹介しようかと頭を悩ませながら、遊佐町の月光川ダム上流にある「さんゆう」を訪ねた。わき水をくむ人気スポットでもある。
「大量に作っているわけではなくて、自家用と直売用を栽培しているぐらいです。一応、ここの代表をしているので」。産直さんゆう代表の山家(やんべ)孝さん=吉出=が照れくさそうに話した。
山家さんは謙遜するが、さんゆうの販売スペースにはプッチーニも含め、たくさんのカボチャが並んでいる。大玉より小さめのものが多い。「キャベツやレタスもそうですが、最近は小家族なので食べきれないため、野菜も小型化しているようです」と話す。
大きな「メルヘン」、小さな「ぼっちゃん」「くりぼう」、おかめの絵が描かれた観賞用の「ベレーボ」などユニークなカボチャが並ぶ。その中から山家さんが選んだのは「ころころ」という品種だった。
「今年、やっと種を取り寄せることができたので、初めて植えてみました。プッチーニより黄色が薄く、背丈が一般のカボチャより高い、つまり平べったくない。初めてなので、収穫時期が分からないんです」と苦笑いした。
試食はしてみたが、「まだ若い感じでホクホク感がなかった」というように特性はまだ把握していない。「どんな味がするのか楽しみです」と期待を寄せる。
ただ、素材を生かした調理法は頭に浮かんでいる。「レンジで2、3分温めてから、上の部分を切ります。ふたにするんです。そして中をくり抜き、ひき肉とタマネギなどをいためて詰める。もう一度レンジで温め、丸ごとどうぞ。もちろん切って食べてもいいですよ」。
ほかにも薄口しょうゆとだし汁で煮て冷蔵庫で冷やして食べる冷やし鉢やグラタン、カボチャゼリーをすすめてくれた。山家さんによると、カボチャの場合は切りやすくしたり、軟らかくしたりするのにレンジが重宝なのだそうだ。
春はワラビやウドなどの山菜類、秋は原木ナメコが主流。「もっと手をかければいいのだろうけど忙しくて」と話す山家さんにとって、農薬も消毒も必要ないカボチャは栽培しやすい作物でもある。
さんゆうには水くみがてらに野菜を買い、土日は地場産のソバの実で打ったそばを食べに来るという常連客が多い。「『まずかったぞ』というようにリアクションがすぐに返ってきます。自分で味を確かめながら野菜を売っています」という心遣いもうれしい。
ころころは山家さんにとっても「未知の味」だが、楽しみな素材でもある。いただいたころころを自宅で天ぷらにしてみた。やはりまだ「若い」感じがした。今度は「作ってみたら、甘くておいしかった。子どもたちが喜びます」というグラタンに挑戦してみたい。
山家さんのころころは、9月の初めに満を持して登場する予定だ。
ころころ1個、タマネギ1/2個、ベーコン2枚、小麦粉大さじ1と1/2程度、牛乳1カップ、生クリーム50㏄、塩コショウ少々、スライスチーズ1枚、粉チーズ少々、刻みパセリ少々
2007年8月18日付紙面掲載