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「アールスメロン」 上品で甘い「箱入り娘」

「おいしいメロンがあるんです。次回の農の国でいかがですか。おすすめレシピはありませんが、いいでしょうか」。いつもお知恵を拝借している庄内総合支所酒田農業技術普及課のスタッフの打診に「おいしいメロン。それはいい」と二つ返事で応じた。紹介してもらった佐藤まゆみさん=酒田市坂野辺新田=と食彩工房いちご畑で待ち合わせ、近くにあるハウスに向かった。

栽培しているのはアールスメロン。「このハウスは収穫がまだ先です。小さいでしょう。これからネットが張ります」。なるほどアールスメロン特有の編み目がない。いまではめったに見ることがないプリンスメロンのようだ。

アールスメロンはマスクメロンの代表選手。香りと上品な甘さが特徴で、高級品種でもある。「アンデスは1株から4個なりますが、アールスは1個しか取れません」。佐藤さんの話に「もったいない。貴重品ですね」と感想を漏らすと、「本当にそうです」とうなずいた。

1株から1個という効率の悪さのほかにも、アールスメロンが高級品にならざるを得ない理由があった。「落果しないように1個ずつビニールでつるしてやり、日焼けしないように新聞紙をかぶせてやります」。まるで「箱入り娘」のような気の使いよう。「静岡では桐箱に入れて販売されていますよ」。

さらに「収穫もアンデスと違ってはさみは使いません。ナイフで丁寧に切って、切り口がきれいに見えるような処理も施してやります」というから「手間暇がかかり、神経を使います」というのもうなずける。

次に収穫を10日後に控えたハウスに連れて行ってもらった。中に入ると、なるほど新聞紙に覆われたメロンがある。佐藤さんが紙をめくると、金色に近いような編み目がびっしり張り付いていた。形はまん丸というよりやや細長い球だ。

新聞紙を取り除くと編み目がびっしりと張ったアールスメロンが顔を出した

味について「上品な甘さです。しつこいところはありません。アンデスのように中が発酵してしまうということもないんです」と解説してくれた。糖度が14度以上になって初めて出荷のゴーサインが出る。 食べごろの時期も「1週間ぐらい」と比較的長い。「若い人は、実が硬めの早い時期に食べるようです。好みに合わせてください」。編み目が細かく、実に張りのあるものがおいしいのだそうだ。

気になる価格は、いちご畑では2個で2,500円前後だが、「傷ついたりしたものは7,800円で売っています」というから家庭用ならそれでもいいかもしれない。次の収穫が16日ごろと今食べられないのが残念。「ほかの生産者のアールスはいちご畑で売っていますからそちらで…」と申し訳なさそうに話す。 大阪の消費者からも直接、引き合いがある佐藤さんのアールスメロンは10月末までいちご畑で販売している。

2007年9月8日付紙面掲載

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