文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

庄内浜は新鮮尽くし

私たち水産物卸売市場で働く人間にとって、日本人が魚を食べなくなってきたというのは悲しいことです。魚は小骨が多くて確かに子供たちには食べにくいかもしれません。しかし、日本人は古来から食べ物の「旬」により季節を感じてきました。その代表と言えるのが魚ではないでしょうか。でも回転ずしが子供たちに人気があるという現象をみていると、日本人が必ずしも「魚嫌い」になったとは思えません。庄内浜には新鮮でおいしい魚が四季を通じて水揚げされています。このコーナーでは旬の庄内お魚情報のほかに、「市場流」のおいしい食べ方も紹介していきたいと思います。

さて、2カ月の禁漁期間が終わり、今月1日に庄内浜で底引き網漁が解禁されました。庄内浜で捕れる魚介類の4分の1を底引き網が占めています。

今はカレイ類が多く揚がっています。中でも多いのがマコガレイ。鶴岡でエンショウ(円正)ガレイ、酒田ではネサシ、鼠ケ関ではモク(木)ガレイと呼びます。クチボソガレイが好まれる庄内では脇役のような存在ですが、東京などではカレイの主役です。大分県では城下ガレイと呼ばれ、全国的なブランドになっています。

夏が旬でおいしくて、今は値段も安く、水揚げもクチボソの倍ぐらいあるので、皆さんにお薦めしたいお魚です。1枚200~250g、家庭用のお皿だとはみ出してしまうぐらいの大きさが主流です。淡白な味の白身魚なので、地元では主に煮付けで食べられています。仕出し料理などに登場することが多いので、意外なところで口にしているかもしれません。刺身やから揚げにしてもおいしいですね。

プロの料理人に聞くと、魚を煮付けにする場合、煮込んで汁を身にしみこませる必要はなく、濃い目のタレでさっと煮て、汁をつけながら食べるのがよいそうです。タレに浸す前に、さっとお湯でゆがく。こうすれば煮崩れも防げるし、煮付けが一段とおいしくなるそうです。

庄内でカレイの代名詞と言えるクチボソもなかなか好調です。卸値も底引き網漁解禁前の半分ほどと手軽に食べられるようになりました。鶴岡でメブト(目太)ガレイ、酒田でメタガレイと呼ぶメイタ(目板)ガレイもそれなりに捕れています。みそ漬けやハタハタのように田楽にするのがおいしい食べ方です。地元では余り食べる習慣がないので、大半が東京に出荷されていますが、たまにスーパーに並んでいることがあります。クチボソの半値以下でおいしいので、ぜひ1度、試してみてください。

同じ魚でも地域によって名前が違うのがおもしろいところです。私たちが取引する場合でも相手の地方の呼び名を知らないと、全く別の魚が届くこともあります。難しいですね。

1年で今が一番おいしいのがハタハタです。新潟県山北町で水揚げされたものが主流ですが、9月中旬になると庄内でも本格化し、価格も下がります。夏場に餌をたっぷり食べて脂も乗っています。たくさん買って、湯上げやしょうゆ漬け、塩をふって焼いてと、たくさん召し上がってください。鍋物にするとよいだしが出ます。新鮮なものは刺身にしてもおいしいのですが、プロでないと難しいかもしれません。

底引き網漁が解禁された。今はカレイ類が主流だ

ふだん私たちが食べている肉や野菜のほとんどは、人間が育てたものです。「天然」を食べるというのが魚の醍醐味です。少々、面倒くさいかもしれませんが、チャレンジしてみてください。こんなおいしいものはないと思います。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2005年9月9日付紙面掲載

トップページへ前のページへもどる
ページの先頭へ

Loading news. please wait...

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field