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「カレイ」種類も呼び名もいろいろ

「カレイの種類、呼び方が難しくて分かりません。新聞の市場欄にババガレイというのが載っていました。どんなカレイなのでしょう。子供のころ、由良のアバが持ってきたアワフキガレイを『おいしいから食べろ』と親に食べさせられましたが、スーパーの店頭では見ません。どういうことでしょうか」という質問を読者の方にいただきました。

カレイについては、以前もこのコーナーで紹介しましたが、もう一度復習してみましょう。ババガレイの正式名はナメタガレイで、鶴岡でアワフキガレイと呼びますから、質問にあった二つのカレイは同じものです。酒田ではアワダチガレイと呼んでいます。ハハガレイとか、表面がネバネバしているのにちなんで、鶴岡の高齢の方でナットウガレイと言う人もいます。全国展開しているスーパーの店頭ではナメタガレイの名で並んでいると思うので見てください。

素人の人は見分けにくいかもしれませんが、食べ慣れているカレイは分かるのでは。左からクチボソ、ナメタ、ダイバです

カレイは種類が多く、カレイ科の魚は世界に100種、日本近海に40種いると言われています。姿形は似ていても、違ったりいろんな呼び名があるので、素人の方が見分けるのは難しいかもしれません。カレイは表と裏で色が全然違います。砂地にすみ、下側の面は砂地と同じ色になります。敵から身を守るためで「擬態」と言うのだそうです。砂の質や色は地域で違いますから、種類が同じなのに土地によって色が違うカレイもあります。おもしろいですね。

カレイは、刺し身や煮付け、唐揚げ、素焼きなどあらゆる料理に適する万能選手です。すべてのカレイに言えることですが、身の厚さがうまさを左右します。厚い方がおいしいのです。魚屋さんは箱ごと仕入れます。その中には厚いものと薄いもの両方まじっていますが、仕入れる時は実際にさわって厚さを確かめていきます。特にクチボソの場合、庄内は大消費地ですから厳選して仕入れるようです。

カレイは白身魚の中でも飛び抜けて体によい成分を含んでいます。ナンバーワンと言ってもいいでしょう。高タンパクで低脂肪、そしてアミノ酸がたっぷり含まれていて、低カロリーで、消化吸収もよいのです。血圧を下げる働きがあるカリウムのほか、カルシウム、うまみを感じる成分のイノシン酸も多く含まれています。このイノシン酸があるため、淡泊でありながら濃厚な味わいとなるのです。お年寄りや体調を崩した人に適した食べ物で、病院食にも使われています。

庄内で捕れるカレイ類の旬の流れを追ってみましょう。冬といえば、ヒラメ、ダイバガレイ、ナメタガレイ、アカガレイが挙げられます。春は全般的によくありません。その理由は、多くのカレイが2、3月に産卵するので、卵を腹に抱いているうちはいいのですが、その後は産卵で疲れてやせてしまうので、味は落ちるのです。春の刺し網漁でカレイはよく揚がります。料理するなら素焼きよりも味を付けて食べていただきたいです。

夏の庄内浜は、7、8月と底引き網漁が禁漁となるので、この期間中はクチボソの地物は手に入りません。でも夏のカレイの代表選手はクチボソですし、ほかにマコガレイ、イシガレイがメジャーな存在です。秋になると底引きの解禁でクチボソが出てきますし、ヤナギガレイも捕れます。

そのほかこちらでガンブツと呼ぶソウハチ(宗八)ガレイ、ワシガレイ、アサバガレイ、メイタ(目板)ガレイがあります。ソウハチガレイは干して食べるとおいしい魚です。庄内では捕れず、流通もしていませんが、マツカワガレイという高級品のカレイも秋においしい魚です。

紙面が尽きたようです。今回は長くなったので上下2回に分けてお送りします。下ではそれぞれのカレイの特徴などを紹介したいと思います。

>> 「カレイ2」 煮付けもおいしいヒラメ

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2006年2月9日付紙面掲載

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