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おいしい筋子の選び方

読者から「最近になって新物筋子と書かれた筋子を見ます。筋子の新しいものは秋から冬ぐらいに出るものと思っていました。なぜ今、新物なのですか。筋子は価格にずいぶん違いがあるように感じますが、高い方がおいしいのですか。おいしい筋子の選び方も教えてください」という質問をいただきました。

筋子の新物というのは5月下旬から入荷します。9月にハララゴが出るころまでを新物と呼んでいます。筋子のほとんどが輸入物で、アラスカ産が大半を占めています。現在はアメリカ産と表示されています。

この辺で売られている筋子はベニザケの子で、われわれは紅子と呼んでいます。ベニザケがアラスカで捕れるのは5月中旬以降です。新物が出るのはその直後ということになるわけです。今は年間を通して筋子が売られていますが、ほとんどが冷凍物です。ただし、5月下旬に輸入される筋子は、航空便で入ってきます。そのころは冷凍ではない、できたての生の筋子を食べることができるのです。それは、ほんの数週間といったところでしょうか。

この辺で売られている筋子はベニザケの子がほとんどです。庄内の人は筋子をよく食べるようです

冷凍の筋子は、船便でまとめて輸入されます。アラスカでは紅子のほか、マスの子の鱒子、ギンザケの子の銀子、サケの子の鮭子、養殖魚であるトラウトサーモンのトラウト子の5種類が作られています。それぞれの卵を塩漬けにして1週間ほど熟成させたものです。それらの総称が筋子なのです。

筋子の値段を決める要因の一つに房の大きさがあります。房が大きいと、一般に粒も大きく、卵にも脂がのっています。房が大きい順に1等、2等、3等とランク付けされ、値段も高くなります。中には房が大きくとも、卵が未成熟であるとか、血がにじんで黒くなったものや、製造中に切れてしまうものもあります。味に大きな影響があるわけではありませんが、これらは規格外品になってしまいます。

格付けで値段には結構な差が付きますが、見た目で分けているという面もあります。筋子の味は、卵の成熟度とバランスの取れた塩分濃度で決まるので、規格外品にもおいしいものはたくさんあります。つまり安くてうまい筋子もあるということです。

おいしい筋子の選び方ですが、試食させてくれる店があれば食べて選ぶのが一番です。でも、そんな機会に恵まれることはそうはないでしょう。見た目で筋子の味は分かりませんから、よいお店を選ぶことも大切になります。うちの会社では、担当者が筋子を吟味して仕入れていますから、この辺にはいいものが出回っていると思っています。鶴岡の人は紅子を好むようです。庄内はたくさんの筋子を消費する地域と言われています。筋子が好きな方が多いのだと思います。余談ですが、山形市ではトラウト子がよく売れるそうです。オレンジに近い鮮やかな色が好まれるのかもしれません。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店社長・手塚太一)
2008年8月26日付紙面掲載

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