文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

人気上がったギンダラ

「子供のころ、ギンダラをよく食べさせられましたが、今はスーパーでも高くてなかなか手が出せません。庄内では親しまれてきた魚だと思いますが、新聞の市場欄で名前を見ることがありません。あまり捕れなくなったのでしょうか」という質問を読者の方にいただきました。

ギンダラは頭と内臓を取り除いたドレスという状態で輸入されています

私たちにとって当たり前のことが、消費者の皆さんには正確に伝わっていないのだなと思いました。ギンダラのほぼ100%が輸入物、つまり外国産です。そしてその大半が米国・アラスカ州で水揚げされたものです。昔は日本の船が北洋まで行って、捕っていたこともあったようですが、今はできなくなりました。漁場は基本的に同じですが、漁の期間は決められています。今は年間を通して冷凍物が入り、食べることができます。赤魚と同じと考えてください。

ギンダラは、アイナメに似ていますが、カサゴ目ギンダラ科ギンダラ属の魚で体長は1mほど、300~600mの深海にすみます。長寿で20年以上生きるのもいます。日本に入ってくるギンダラは、頭と内臓が取り除いてあります。このような状態を私たちは「ドレス」と呼びます。はらわただけを取ると「セミドレス」です。しょうゆに漬けて焼いたものが学校給食に出ていたように、ギンダラは確かに親しまれてきた魚です。

価格が高くなったのには理由があります。脂肪を好むようになった日本人の味覚の変化もあり、人気が上がったのが一つ。それと捕り過ぎて資源が減ってきたのに加え、食文化の融合が進んで中国など各国でもギンダラを食べるようになりました。需要と供給の関係で市場原理が働き、価格が上昇したのです。今は市場価格で1kg当たり1,000円ほど、高いものだと1,500円もします。前に紹介しましたが、寒ダラやサケは卵も含めた値段で取引されるので身は安くなりますが、ギンダラは身だけしかお金にならないのでタラよりも高いぐらいです。

アラスカやオレゴン、カナダなどの産地がありますが、処理の良し悪しも含めてランク付けされていて、アラスカ産が一番です。底引き網漁で捕り、新鮮なものは刺し身もできます。ビタミンAの含有量はウナギ以上で、魚類には珍しくタンパク質より脂肪質が多いのです。抗酸化作用が強く、動脈硬化やがんを抑制するなど病気に強い体をつくります。ビタミンDがカルシウムの吸収を助け、骨粗しょう症を予防します。細胞膜の老化を防ぐビタミンEも豊富です。半面、コレステロールが少なく、高血圧を抑制しますが、カロリーは高いのです。私たちは、知らないうちに体によいものを食べていたんですね。

庄内浜の状況に話を移しますと、底引き網では、タラは産卵を終え、雄、雌とも腹の中に子が入っていない空(カラ)ダラの水揚げが盛んです。エビ類、ハタハタも多く捕れています。刺し網漁ではメバル、クチボソ、エンショウ(マコガレイ)、イシガレイ、釣り物でヤリイカがいいようです。コアミは秋田に続いて先週、酒田でも水揚げが確認されました。今おいしいのはヤリイカの雌、メイカです。アオサも秋田から入荷してきました。海に関しては春の訪れは早いようです。

鶴岡市場には今、青森産のマスが次々と入っています。まだ定置網ではなく釣り物ですが、おいしいです。県の魚であるサクラマスは、庄内浜まで南下してきて、川を上る前に定置網で捕ります。脂ののりが違います。普通は腹の周りにだけですが、庄内まで来たマスは全身に脂がのった「全トロ状態」です。今、流通しているものは1~1.5kgですが、庄内まで南下すると2kgぐらいに成長しています。マスについての詳しい話は庄内三大祭りがある5月にしようと思います。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2006年2月28日付紙面掲載

トップページへ前のページへもどる
ページの先頭へ

Loading news. please wait...

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field