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ニーズ出てきたキンメダイ

キンメダイは庄内では捕れませんが、とてもおいしい魚です

読者から「東京で最近、キンメダイが高級魚として取引されているという報道を見ました。キンメダイは庄内浜でも揚がりますか」という質問をいただきました。

キンメダイは南の魚なので、庄内ではこれまで捕れていません。キンメダイではありませんが、3月の第1週、フエフキダイという山陰地方でよく捕獲される「南方系」の魚が鼠ケ関港に水揚げされ、浜の仲買人が「初めて見た」と言っていました。フエフキダイは口がやや筒状にとがっているという特徴があります。キンメダイは太平洋岸が主な漁場ですが、フエフキダイの例もあるので、ひょっとすると庄内でも…ということもあるかもしれません。

庄内浜には揚がらないキンメダイですが、最近はこちらでも少しずつ認知され、ニーズも出ているようです。関東ではメジャーな魚で、特におめでたいときに使う「祝儀魚」としてもてはやされています。体の色が真っ赤、目が金色の深海魚です。普段は水深800メートルほどの海にすむため、目が発達して大きく輝くようになったのでしょう。寿命は14年ほどです。仲間の魚にフウセンキンメとナンヨウキンメがいますが、この辺には出回りません。

キンメダイは年間を通して揚がる魚です。相模湾、駿河湾、伊豆七島、房総半島、高知県沿岸が主産地です。房総半島沖のキンメダイは1年を通して脂が乗っていると業界では言われています。旬は12月から3月で、今もおいしい時期に入ります。輸入物もあり、鍋用の切り身や漬け魚の大半はアメリカ産です。ハワイの近くの天皇海山という海域で多く捕れます。

キンメダイは夜になると、水深200メートルほどのところまで上がって来るので、漁は夜にする場合が多いようです。都道府県別の水揚げ量は1位が静岡、2位が高知、3位が千葉。消費地はというと、関東に集中しています。「キンメダイの町」を掲げている地域もあります。伊豆半島の稲取温泉がある稲取港です。沖合で捕れるキンメダイは脂が乗っていると言われ、名産地と評価されています。脂の乗りの有無は、サンマやカツオと同じように漁場に影響されるようです。キンメダイはハダカイワシを餌にしています。ハダカイワシがたくさんいる海域のキンメダイが、脂が乗っておいしいという研究結果も出ているそうです。

サンマと同じようにキンメダイの脂も体にいいようです。血圧を下げるカリウムや骨を丈夫にするカルシウム、心臓によいマグネシウムを多く含み、おいしくて体にもよい、といういいことずくめの魚です。身には老化防止やがん予防などにつながるビタミンAとE、骨粗しょう症を抑制するビタミンD、そして脂にはEPAやDHAといったコレステロールを下げる不飽和脂肪酸がたくさん含まれているということでした。刺し身でももちろんいけますが、湯引きにするととてもおいしいです。わたしは東京でキンメダイを初めて食べましたが、うまい魚だなと思いました。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店社長・手塚太一)
2009年3月24日付紙面掲載

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