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冷・解凍の鍵は「急速」

読者から「魚の冷凍の仕方が知りたいのです。大きめの魚は1匹丸ごとか、それとも切り身にしてからか、どちらがよいのでしょうか。内臓は取るべきでしょうか。それとおいしい解凍の方法も教えてください。冷凍に向かない魚はあるのでしょうか」という質問をいただきました。

最初に冷凍に向かない魚についてお話ししましょう。ふだん、生食している魚をいったん冷凍し、その後に解凍して刺し身で食べるということはしてほしくありません。たとえば、ヒラメやマダイがこれに該当します。解凍してから焼いたり、煮たりと、加熱して食べる魚は冷凍してもよいと思います。ただ、解凍しても刺し身で食べられるタイなどもありますが、それは真空処理など特殊な保存法が施されています。一般の家庭では無理だと考えてください。

生食以外の魚で冷凍に向かないものとしては、年末や冬にかけて出回るダイバ(ムシガレイ)、アワフキ(ナメタガレイ)があります。冷凍のダイバとアワフキは、生を煮付けたり、焼いたりしたものとかなり味が変わります。はっきり言えば落ちます。身に水分を多く含むカレイは冷凍しない方がよいようです。

大きい魚を冷凍する場合は、ご質問にあるように内臓を取り除くのが正解です。頭、うろこ、内臓、つまり食べない部分は取るということです。切り身にして食べるものは、冷凍する前に切り身にしてしまうのがよいのです。ですから、年末に皆さんの家庭で新巻鮭を冷凍する時も、3枚におろして切り身にし、一切れずつラップにくるむようにしてください。魚の身を空気に触れさせないためです。空気に触れさせないのは、解凍時にパサパサするのを防ぐのと、冷凍焼けを防止するという理由からです。食べるのに近い段階まで処理をして空気を入れない。これが魚を上手に冷凍するコツです。

次に冷凍時の注意を説明しましょう。急速に冷凍し、急速に解凍してください。ですから完全に凍り付くまでは冷凍庫は開けないようにしてほしいのです。中の温度が上がるからです。食べるという日の朝、冷凍した魚を冷蔵室に移し、夜まで置いて溶かすという「自然解凍」もだめです。水が入らないようにビニール袋などに入れて、外から水道水などをかけて溶かすようにしてください。自然解凍だと身がぐちゃぐちゃになってしまいます。お湯を使うのも御法度です。

魚市場にはいろんな魚が集まります。中には冷凍に向かないものもあります

冷凍の魚はだめだと思ってほしくはありません。正しい解凍法で処理すれば、おいしく食べることができるのです。料理屋さんだって冷凍の魚も使います。それでもおいしいのは、解凍する技術があるからです。冷凍法と同時に解凍の仕方で魚の味が変わるということも知っておいてください。

前回、お話ししましたが鶴岡魚市場まつりは盛会裏に終わることができました。実行委員会の反省会でいろんな意見、反省点が出ました。来てくれた皆さんからも「ここが悪かった」「ここはこうした方がいい」などの意見をお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2006年12月7日付紙面掲載

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