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天神祭が近づいてきました。今回は、昔から祭り料理の主役を務めてきたタイについてお話したいと思います。
前回、取り上げたマスと同じように、タイも大きさや格好が味に影響してくる魚です。やはり丸々太っているタイがいいのですが、5kg以上の大ダイになると、尾の付近まで脂がのり、今の時期がおいしいそうです。クジラも尾の身が珍重されますが、タイも大きくなると、尾の付近がおいしくなります。
料理人には1.5kgから2kgぐらいのものが好まれます。柵取りした場合、刺し身にするのにちょうどいい大きさの切り身になるというのがあるでしょう。かぶと焼きなど刺し身以外の選択肢も多く、いろんな料理ができます。とても使いやすいので、すし屋さんや料理屋さんはこのサイズのタイを使っているそうです。
一般的なのが１匹700グラム前後の家庭で食べきることができるもので、一番のおすすめは湯引きです。この大きさだと皮も軟らかく、湯引きにするととてもおいしくなります。お店ではなかなか売っていないと思いますが、私も大好きです。ぜひ家庭で召し上がっていただきたいのです。
やり方をお教えしましょう。まずタイのうろこを取り、五枚におろします。皮を上にしてキッチンペーパーを載せ、お湯を全体にまんべんなくかけていきます。そして氷水に入れて冷やし、水を切るためざるに入れ、冷蔵庫に2時間ほど置いてください。余分な水分が抜けて身がしっかりとしてきます。普通の刺し身ならワサビじょうゆでしょうが、おろしポン酢か和風ドレッシングで食べてみてください。
今どきの料理としてはタイしゃぶにするという手もあります。天神祭といっても、最近は親せきが一堂に集うということはあまりなくなりました。天神祭にかこつけて、一家だんらん、家族でタイしゃぶをつつくというのもいいのではないでしょうか。青森など県外の人から「おたくのタイ祭りはいつだっけ」という電話をもらうことがあります。業界では酒田まつり、天神祭で、庄内人はタイをたくさん食べると思われているようです。
タイのお吸い物は最高です。タイに振り塩をしてそのまま吸い物に、または焼いてから吸い物にしても香ばしくておいしいものです。それにミツバやミョウガ、白髪ネギといった薬味を入れると味が引き立ちます。わが家ではサンショウの葉を入れます。吸い物に浮かべるだけで、葉は食べません。吸い物がとてもおいしくなるので、皆さんにもおすすめします。
今の時期のタイは、雌より雄の方がうまいと言われています。産卵前の時期なので腹がふくれていて、白子がたくさん入っています。タイは色鮮やかな真っ赤なものがおいしいと思うかもしれませんが、今はやや黒みがかっているのがうまいのです。
（鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一）
2007年5月24日付紙面掲載
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