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夏ばてに干しアナゴ

読者から「夏ばて防止と言えば、ウナギが思い浮かびます。庄内では捕れないと思いますが、地物の魚で夏ばて防止におすすめのものを教えてください」という質問をいただきました。

庄内ではウナギはほとんど捕れません。今回、おすすめしたいのは干しアナゴです。名前の通り、アナゴを干したものですが、すし屋さんで食べるアナゴとは種類が違います。男鹿半島で「ぼうあなご」と呼ばれるものが有名です。標準和名はクロメクラウナギです。

漁の方法から説明しましょう。筒の中にサバやアジなどを仕込み、約50m間隔でロープをつないでいきます。水深100mのところが漁場になります。入れてから1時間ほどで引き上げます。港に戻るとすぐ、捕れたアナゴの口から金ぐしを通し、同時に内臓を取ります。

干すための下ごしらえですね。かなり手間がかかる作業だそうです。漁をするのは、主に底引き網漁が休漁中のトロール船の乗組員です。この漁を専門にしている人も一部います。庄内浜では鼠ケ関と由良でこの漁をしていますが、由良の方が断然、多いそうです。

干しアナゴは、昔は結構安くて普段食べるようなものだったようですが、今では高級品になってきました。水揚げも少なく手間もかかるので、品薄ということもあります。精の付く食べ物として珍重されてきたようです。天気がよければ3時間ほどで干し揚がるそうです。以前は1本を丸ごと焼いて食べていました。最近は最初に切って、フライパンでいためるという人が多いようです。おろしじょうゆが一般的な食べ方です。味の方はというと、ヤツメウナギに似たこりこりした食感です。スタミナが付く夏の食べ物と言ってよいでしょう。

精が付くと思って食べる人はいないでしょうが、岩ガキも栄養価の高い食材で、海のミルクとも言われます。外観がV字型になっているものがいいとされていますが、料理屋さんやすし屋さんは「ヒラガキ」と呼ばれる丸や楕円のカキを選ぶ傾向があるようです。形がいいので、皿に置いたときに安定するし、むきやすいというのがあるかもしれません。市場でもヒラガキの方が好まれます。

岩ガキには潜水物と磯見物があります。潜って深いところにあるカキを採るのが潜水漁、小さな舟を操り、虫眼鏡のようなもので海中を見て採るのが磯見漁です。両者の違いは、浅瀬の方が産卵が早いという点にあります。産卵後のカキを水ガキと言います。水分だらけのカキのことです。浅瀬で採れるカキは、磯見漁の方が多いのです。まだ水ガキはありませんが、今後は差が出てくると思います。

庄内浜で捕れた干しアナゴです。夏ばて防止に食べてほしい魚です

カキは、河口付近に生息している方がうまいとされています。真水が流れ出たところに餌となるプランクトンが豊富にあり、おいしくなると言われているのです。食べ方はなんと言っても生食でしょう。もったいないと思うかもしれませんが、フライにしてもおいしいと思います。むいてから上にみそを塗り、焼くのもいいし、炊き込みご飯もおいしいものです。島根県隠岐の島では岩ガキの養殖に取り組んでいるところもあるそうです。

タコもタウリンを含んでいるので疲れを取ると言われています。関西では7月初めに「半夏生(はんげしょう)」というタコを食べる日があります。タコも夏ばて防止の食べ物と言っていいかと思います。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2007年6月28日付紙面掲載

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